【いとこ煮】
先日、久々に山形県は庄内地方にある実家に帰省し、いわゆる「ふるさとの味」を存分に楽しんできました。その中でも懐かしくておいしくてたまらなかったものが、一つは納豆を甘酒と塩麹と納豆昆布で漬けた「納豆漬け(塩納豆)」、もう一つが「いとこ煮」という郷土料理です。
この「いとこ煮」、以前小樽ショールームのスタッフとの間で話題に上がった際、お互いが知っているいとこ煮が違っていて驚いたことがあります。小樽のスタッフが教えてくれたいとこ煮は、小豆を茹でて甘く味付けしたものをかぼちゃと煮込んだ「小豆とかぼちゃのいとこ煮」、そして私の知るいとこ煮はというと、小豆を茹でるところまでは一緒ですが、もち米と茹でた小豆を一緒に炊き込み甘く味付けした「小豆ともち米のいとこ煮」です。
調べてみると、いとこ煮とは日本各地に伝わる郷土料理で、料理自体の由来は浄土真宗の宗祖である親鸞が自身の庵で講を開いた際に、茶菓子の代わりに野菜の煮物に小豆を加えた料理を振る舞ったことが起源という説があります。いとこ煮という名称については、煮えにくい材料から「追々(おいおい)」入れていくことを「甥甥」であるいとこにかけたという説、材料がすべて野菜なのでいとこになぞらえた説、いとこなどの親族が集まる場で食されるから、など複数のいわれが存在します。
そして、各地のいとこ煮も多種多様で、秋田県鹿角地方ではダイコンと小豆を具とした味噌汁がいとこ煮、栃木県那須地域では茹で小豆と唐茄子のいとこ煮、神奈川県では小豆・いんげん・さき干し大根・なすなどの具を味噌で味付けしたいとこ煮と、一つの名称の料理がこんなにも多様性に富んでいることがとても興味深く感じられました。
京都に戻ってしばらくして、私もふるさと山形県庄内地方のいとこ煮を作ってみました。庄内では秋から冬にかけてよく作られていて、お茶請けや農作業の合間のおやつ、おもてなしの料理として昔から食べられてきたものです。また、おすそ分けの定番でもあり、ご近所や親戚から、お赤飯を入れるケースにたっぷり詰められたいとこ煮をもらうと、小豆好きとしてはとても嬉しく、口に広がるもちもちとした食感と濃厚な甘さに幸せがあふれていました。一晩浸水させたもち米と少し硬めに煮た小豆を、小豆の茹で汁で一緒に炊き、砂糖を加えて弱火で加熱しながら水分を適度に飛ばしたら出来上がり。出来立てでも冷めてからでもおいしく食べることができますので、小豆ともち米が手に入ったらぜひ作ってみてください。
野田琺瑯 レクタングル深型M
https://www.shokunin.com/jp/noda/
和田助製作所 クッキング&サービングスプーン S
https://www.shokunin.com/jp/wadasuke/spoon.html
白木屋漆器店 手塩皿
https://www.shokunin.com/jp/shirokiya/teshio.html
かぼちゃのいとこ煮(小豆かぼちゃ)
https://jp.shokunin.com/archives/52010846.html
参考資料
https://www.yamagata-np.jp/feature/mikaku/kj_20100928.php (参考レシピ)
https://www.creative-tsuruoka.jp/ouchigozen/recipe_all/094.html (参考レシピ)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%84%E3%81%A8%E3%81%93%E7%85%AE