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【抹茶と茶道】

ほろ苦い味と香りがおいしい抹茶のお菓子や飲み物が充実している最近ですが、抹茶を点てるといえば「茶道」の世界という印象ではないでしょうか?お茶はチャノキ(茶樹)という植物から作られます。アジア原産のツバキ科ツバキ属の常緑樹で、抹茶は茶葉を蒸してから乾燥させる「碾茶(てんちゃ)」を石臼で挽いたものです。お茶にはカテキンやビタミンCが含まれ、抗酸化作用や免疫細胞を活性化し、碾茶には茶葉の中でもテアニンというアミノ酸の一種が多く含まれることから、リラックスや集中力を高めるという健康効果があります。

日本の伝統文化である「茶道」または「茶の湯」は、お茶の儀式と様式を指します。茶道は、露地という茶室までの庭、茶室のしつらえ、茶道具の選別や鑑賞、振る舞われる料理や手前作法などの審美性と、亭主と客人との精神的な交流を重んじる精神性や思考が融合した総合芸術であり、ここに現代にも続く日本人のおもてなしの精神を見ることができます。

お茶は奈良時代に中国から日本へと伝わりました。その後、鎌倉時代に中国・宋での修行を終え、臨済宗の開祖となる栄西が茶の種を持ち帰り、禅宗と共にお茶の栽培方法や飲み方を全国的に広めたといわれています。栄西が著した茶の歴史と効用についての『喫茶養生記』には、「茶というものは末代における養生の仙薬であり、人々の寿命を延ばすに良い方法である」と書かれています。また、禅の修行は眠らせないための修行ともいわれ、睡眠欲を高めることで、ほかの欲を断ち切ります。栄西は禅の修行に茶を取り入れ、座禅を組む前に眠気覚ましの薬として茶を服す茶礼の儀式を行いました。茶道はこの茶礼から派生したものです。

室町時代には、中国からの「唐物」がもてはやされ、それを使用した茶会が流行しました。一方で、「和物」といわれる日本製の茶道具を使用し、亭主と客人との精神的な交流を重んじる「わび茶」を村田珠光(むらたじゅこう)が成立させ、茶室・茶道具もしだいに派手で華美なものから、精神性を尊ぶ質素なものが尊重されるようになりました。珠光が弟子に宛てた「心の文」といわれる一文には、「心の師とはなれ、心を師とせざれ、と古人もいわれし也」とあります。移ろいやすい心に振り回されず、自分が心をコントロールする立場になりなさい、という言葉のとおり、珠光は茶の湯を“心をコントロールし自分自身と対峙する精神修行の場とすること”を目指しました。

その後、武野紹鷗(たけのじょうおう)がその精神を受け継ぎ、その弟子の千利休が安土桃山時代にわび茶を完成させ、それが今日の茶道の礎となりました。茶道には千利休の子孫による「表千家」「裏千家」「武者小路千家」をはじめ、多くの流派が誕生し、今日も広く人々に親しまれています。

利休が説く茶道の心得に「和敬清寂」と「利休七則」があります。「和敬清寂」とは、主人と客が互いの心を和らげて謹み敬い、茶室の品々や雰囲気を清浄な状態に保つことを示しています。そして「利休七則」とは、飲む人がおいしいと感じる加減にお茶を点て、炭は頃合いよくちょうど良い加減の湯が沸くように置き、花は野に咲くように自然に生け、春も夏も過ごしやすい環境を整え、時間には余裕を持ち、何事にも心がけ、怠らず準備を整えて、というもの。この短い4文字と7つの教えに、すべてのお茶の心が込められているともいわれています。

新渡戸稲造による『武士道』(1899年刊行)には、武士の作法としての茶道が書かれています。茶道は岡倉天心(覚三)の『茶の本』や、鈴木大拙『禅と日本文化』によって世界に広まりました。いずれの著書も英語で書かれ、心に響く茶道や禅の世界に日本文化の独自の価値観・精神性・美意識を見ることができます。

すすむ屋茶店の抹茶セットは、抹茶を日常的に楽しむための茶具。抹茶専用の片口は、複数人分の抹茶を、同じ温度、同じ濃さ、同じタイミングで提供することができる優れものです。小さなぐい呑みに注げば、カフェでエスプレッソを飲むような感覚でお楽しみいただけます。おいしいお茶とお菓子、お気に入りの茶器や器を用意して、今も続くお茶の文化に触れてみてはいかがでしょうか?

すすむ屋茶店 抹茶セット
https://www.shokunin.com/jp/susumuya/matcha.html
丹窓窯 スリップウェア 豆皿
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大寺幸八郎商店 かなまり 小
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参考資料
https://ja.wikipedia.org/wiki/チャノキ
https://ja.wikipedia.org/wiki/碾茶
https://ja.wikipedia.org/wiki/茶道
http://shizuoka-cha.com/index.php/ocha
https://ja.wikipedia.org/wiki/武士道_(新渡戸稲造)
https://ja.wikipedia.org/wiki/和敬清寂
https://ja.wikipedia.org/wiki/抹茶
https://www.urasenke.or.jp/textb/shiru/beginer/kokoro.html