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【雪】

小樽ショールームのある小樽市では、今シーズンは特に年明けになってからの積雪がとても多く、雪かきや交通障害で大変な思いをしている方も多いと思います。雪国に住んでいると冬は毎日のように目にする雪ですが、すべて同じかというとそうではありません。降り方も異なり、積もった雪も日々違った表情を見せてくれます。そして、その雪を表す言葉も数多く存在しています。

天気予報での雪の予報の際には、どのような雪が降るのかが言い分けられています。冬になると耳にすることが多いのですが、例としては、雪、大雪、霙(みぞれ)、霰(あられ)、吹雪、地吹雪、猛吹雪、風雪、落雪、融雪、雪崩、暴風雪、豪雪、細氷(さいひょう、別名ダイヤモンドダスト)、氷霧など。降り積もった様子を表す言葉もたくさんあります。「銀世界(ぎんせかい)」や「雪化粧(ゆきげしょう)」は、一帯に雪が降り積もった様子のこと。「衾雪(ふすまゆき)」は、平安時代などに使われていた布製の寝具である「衾(ふすま)」に由来し、これも一面に雪が積もった様子を表します。「薄雪(うすゆき)」は、うっすらと雪が積もり、辺り一面が薄く白いベールで覆われたようなイメージです。「冠雪(かんせつ)」は、山の山頂や物などにかぶさるように雪が降り積もることを表しています。「新雪(しんせつ)」は降り積もったばかりの雪のこと。「粗目雪(ざらめゆき)」は、溶けたり凍ったりを繰り返してザラメ糖のように大きめの粒状になったザクザクと粗い雪のこと。「根雪(ねゆき)」は降り積もった雪が溶けずに30日間以上継続した状態のことをいいます。有名な歌のタイトルにもなっている「名残雪(なごりゆき)」は、その冬の最後に降る雪のこと。そして、春になっても溶けずに残っている雪のことは「残雪(ざんせつ)」と表現されます。

降ってくる雪の形状を表す言葉もあります。「細雪(ささめゆき)」は、谷崎潤一郎の小説のタイトルで有名ですが、細かく降る雪を表します。「粉雪(こなゆき)」や「パウダースノー」は粉のようにサラサラと細かく、風が吹くとふわっと舞い上がるほどの細かさです。「淡雪(あわゆき)」はすぐに溶けて消えてしまう雪。「綿雪(わたゆき)」や「牡丹雪(ぼたんゆき)」は、綿雪をちぎったようなひと塊りが大きな雪で、綿雪の方がやや小さめです。お米の粒のような雪は「小米雪(こごめゆき)」。「べた雪」は、水分を多く含んだ重たい雪のことです。また、降ってくる様子を表現する言葉としては、「こんこん」(次々と絶え間なく降る様子)、「しんしん」(音が吸い込まれるように静かに降る様子)、「ちらちら」(優しく舞うように降る様子)、「はらはら」(小さな雪が軽るく静かに降る様子)、「蕭蕭(しょうしょう)」(物寂しく降っている様子)などがあります。

「雪花(せっか)」や「六花・六華(りっか)」など、雪そのものや降る様子を花に見立てた言葉も美しいものがたくさんあります。「天花(てんか)」という言葉は、天から降ってくる花という意味。「瑞花(ずいか)」とは、豊年の兆しとなるおめでたい花のことで、雪がたくさん降ると豊作になるということから、瑞花は雪を表す言葉としても使われます。雪を香りのしない花として表現した「不香の花(ふきょうのはな)」という言葉もあります。そして、「風花(かざはな)」は、風上から風に吹かれて流れてきた雪のことです。

このように雪を表す言葉や、雪にまつわる言葉はたくさんあり、今回お伝えしたのもその一部です。雪をただ雪として見るだけでなく、その様子や表情をこんなにもたくさんの言葉にしてきた日本語の豊かさ、美しさを感じます。雪が降ると大変なことが多いのは確かですが、今日の雪はどんな雪なのか考えながら過ごすと気分も少し違ってくるかもしれません。

青龍窯 浅鉢 ※雪解けの山を表現した白色の釉薬、残雪の磁器です。
https://www.shokunin.com/jp/seiryu/asabachi.html
小樽ショールーム
https://www.shokunin.com/jp/showroom/otaru.html
小樽雪あかりの路
http://yukiakarinomichi.org/?p=2479

参考資料
https://allabout.co.jp/gm/gc/220775/
https://dl.ndl.go.jp/pid/2536975/1/13 (国立国会図書館デジタルコレクション 『雪華図説』)