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【豊平館】

札幌市随一の繁華街であるすすきののすぐ隣には、中島公園という緑豊かな公園が広がっています。その一角には「豊平館(ほうへいかん)」と呼ばれる、白い外壁が鮮やかなブルーで縁取られた美しい建物があります。

豊平館は、1880年に旅行客向けの宿泊施設として開拓使によって建築された洋造ホテルで、北海道最古のホテルであるとともに、現存する木造ホテルとしては日本でも最古の建物とされています。施設全体が完成した1881年には、明治天皇の北海道行幸の際の行在所とされ、初めてのお客様として明治天皇をお迎えすることとなりました。「梅の間」は明治天皇がご滞在されたお部屋で、現在は当時の資料を基に再現された家具などの調度品が展示されています。華々しい幕開けを飾った豊平館はその後もホテルや宴会場として利用されますが、1899年に北海道区政が敷かれ地方自治が発足したのを機に公的な利用も始まりました。昭和の初め、1927年には北側に新たな公会堂が附設され、市民の文化活動の拠点としてより一層にぎわいを見せました。戦中戦後は陸軍や進駐軍によって接収されますが、1947年には札幌市のもとに無事返還され、1948年には「札幌公民館」、1949年には「札幌市民会館」へと名を改め、戦後の社会教育の推進にも背を押され、再び市民の活動の舞台としての活気を取り戻しました。

現在豊平館は中島公園の敷地内にあるのですが、もともとは別の場所に建てられていました。現在の建物は、元の建設地に新たな市民会館が建設されることが決定した際に、取り壊すか保存するかという議論の末、1958年に移築保存されたものになります。当たり前のことではありますが、もしこの時に取り壊しの道を辿っていたら、我々がこの空間を味わうことは叶わなかったのだと思うと感慨深く思います。移築後の豊平館は、市営の結婚式場としてまた新たな歴史を刻み始めます。1964年には国の重要文化財にも指定され、2011年までの間、由緒ある式場として数多くの市民の大切な節目を見守ってきました。特に1967年ごろまでは、年間約1000組以上もの挙式が執り行われる市内屈指の式場だったそうです。その後は保存のための修理や耐震工事、活用整備等を経て今に至ります。館内では実際の耐震補修工事の様子を映した映像が放映されていたのですが、そのすべてが本当に細やかな作業の連続なのです。このような文化財建物の修繕の様子を映像で見る機会はあまりなかったので、改めて敬意と感謝の念でいっぱいになりました。

さまざまな技術の結晶体のような建物には見どころがぎっしりと詰まっていますが、個人的に最も心惹かれたのは漆喰装飾でした。まずはシャンデリアの吊元に円形にあしらわれた天井中心飾りで、こちらは公式HPにも見どころの一つとして紹介されています。「こて絵」と呼ばれる技術によって作られたもので、天井に漆喰を盛り付けて立体的に形を仕上げていくのだそうです。おそらくは脚立のようなものに上って、しかも上を見上げた状態で、こんなにも繊細な意匠を仕上げてしまうというのだから驚きです。部屋によってモチーフが異なるためとても見応えがあります。また、面白かったのが暖炉のマントルピースといわれる装飾部分です。一見すると全体が大理石製に見えるのですが、実際に大理石が用いられたのは天板部分のみで、それ以外の部分は木製版に下地として漆喰を塗り重ね、さらに鼠漆喰と呼ばれる灰色の漆喰を用いて、まるで大理石のような質感を演出しているのだそうです。修繕の際に撤去された部材を間近で見ることができ、つるっとした光沢感さえ感じられるのに芯はしっかりと木材なのでとても不思議な気持ちでした。

ほかにも多くの魅力にあふれた豊平館。見学中にひと休みしたくなったら、同じ建物内にある「喫茶室ハルニレ」で、ぜいたくな空間を味わいながらほっと一息つくことができます。観覧料とドリンク1杯がセットになったお得なチケットもおすすめです。札幌の街は今日から雪まつりが始まるなど、真っ白な雪の中でもとてもにぎわっています。お越しの際は、豊平館にも足を運んでみてはいかがでしょうか。

豊平館
https://www.s-hoheikan.jp
小樽ショールーム
https://www.shokunin.com/jp/showroom/otaru.html