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【初鰹】

「目には青葉 山ほととぎす 初鰹」。江戸時代前期に活躍した山口素堂の俳句です。春から夏にかけての季節を表し、目には初夏が爽やかに映る「青葉」、耳には美しい鳴き声の「ほととぎす」、口には食べておいしい「初鰹」と、夏の季語が3つ使われています。江戸時代の人々が好んだものを表したもので、「初鰹」は珍重されていました。

鰹は温かい水域を好んで群れを作って黒潮に乗り、餌のイワシを追いながら南はフィリピン沖から北は三陸沖までの広い海を回遊しています。高速で泳ぐために鰹の鱗は退化して胸びれの部分だけが残っているそうです。

鰹が北上する時期の4月から6月ごろのものは「初鰹」と呼ばれ、赤身が多くみずみずしくあっさりとした味わいです。また、秋の9月ごろからの水温低下に伴い南下し始めるものは「戻り鰹」と呼ばれ、このころ獲れるものは脂がのり濃厚でもっちりとした食感で「脂かつお」や「トロ鰹」とも呼ばれています。

鰹は鮪と同様に熱を通すとパサついた食感になってしまうために加熱料理は向かず、お刺身やたたきにしたり、ツナ缶の代用として使用されたり、長期保存のために鰹節に加工されたりします。

鰹の料理は全国各地にそれぞれありますが、漁師料理から生まれたものが多いようです。大分県には「りゅうきゅう」という郷土料理があります。旬の魚を使った料理で、いりごまをよく摺り、醤油と砂糖、酒を混ぜて漬け込み、小ねぎをちらします。名前の由来には、沖縄(琉球)の漁師から伝わったという説や、ごま和えにする料理を「利休和え」と呼ぶ(千利休がごまを好んだため)ことから派生したという説があります。

縁起の良い初物の「初鰹」は、タンパク質やビタミンB群、鉄やマグネシウムのミネラル類、タウリンなど豊富な栄養素が含まれています。今が旬の鰹を食べて健康に過ごしていきたいですね。

山只華陶苑 JUJU mortier すり鉢
https://www.shokunin.com/jp/yamatada/suribachi.html
東屋 擂粉木
https://www.shokunin.com/jp/azmaya/surikogi.html
木屋 薬味寄せ
https://www.shokunin.com/jp/kiya/yakumi.html

参考資料
https://ja.wikipedia.org/wiki/カツオ
https://proverb-encyclopedia.com/menihaaobayama/
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/ryukyu_oita.html