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【鰹節】

世界共通用語である「うま味(umami)」は、明治41年(1908年)に旧東京帝国大学(現・東京大学)の池田菊苗博士によって発見された5つの基本味(甘味・塩味・酸味・苦味・うま味)の1つです。「うま味」の3種類の代表的なものは、昆布からのグルタミン酸、鰹節からのイノシン酸、椎茸からのグアニル酸です。うま味はどれも料理のおいしさの役割を担っています。

うま味の代表格である鰹節には、「荒節」と「枯節」の2種類があり、それぞれ製造方法が異なります。「荒節」は1カ月ほどかけて「焙乾」といういぶして乾燥させたもので、一般に市販されている削り節の多くがこちらです。荒節はいぶした香りが残り、しっかりとした味が特徴です。一方「枯節」は、「荒節」にカビ付けし乾燥させたもので、それを更に熟成させると「本枯節」になり、製造には半年以上もの期間がかかります。このカビ(アスペルギルス属やユーロチウム属)は、「焙乾」では取り切れなかった内部の水分を吸い出して乾燥させ、鰹の脂肪を分解する作用があることで、上品ですっきりとまろやかな香りのする透明度の高い「だし」が取れるそうです。

「だし」は、関東の濃い味と関西の薄い味とで異なりますね。関東では多くは魚由来で、「つゆ」または「おつゆ」と呼ぶことがあります。関西では主に昆布で煮干しや鰹節などの組み合わせたもので、「だし」または「おだし」と呼びます。使う鰹節は、関東では「枯節」、関西では「荒節」が好んで使用されています。

「だし」を取るには、日本の地域や水系によって水の硬度が違い、場所によって微妙な味の差が出るようです。昆布の「だし」は軟水のほうが出やすく、硬水は硬水のカルシウムと昆布のミネラルが結合し、アクと磯臭さが出てうま味がうまく出ません。関東は硬水寄りのため、昆布の「だし」がおいしく出ないので、かつおの「だし」文化が定着しました。

関東と関西の違いが生まれたほかの理由は、江戸時代、関西は昆布が手に入れやすく、魚自体の強い味わいを持つ魚が獲れたので、素材の風味付け程度に薄口醤油が使われたというもの。一方、関東で獲れる魚は薄味が多く、京都から江戸まで昆布を運ぶのが困難だったため、関東はしっかり味付けをする濃い口醤油が使われたそうです。

「だし」には関東、関西以外に北海道、九州、沖縄など日本のさまざまな場所で異なり、その土地の水や特産品が影響しています。その土地それぞれの「だし」の料理を味わいたいですね。

台屋 鰹節削り器
https://www.shokunin.com/jp/daiya/
青龍窯 小鉢 大
https://www.shokunin.com/jp/seiryu/kobachi.html

参考資料
https://ja.wikipedia.org/wiki/うま味
https://ja.wikipedia.org/wiki/出汁
https://www.kobe-np.co.jp/rentoku/omoshiro/202205/0015334081.shtml
https://shop.ninben.co.jp/blog/?p=472
http://www.kezuribushi.or.jp