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【ひな祭り】

今年は京都の下鴨神社で、4年ぶりに「流しびな」が行われました 。「流しびな」は「ひな祭り」の原点ともいわれ、ひな人形を人の形の形代(かたしろ)とし、川に流して穢れを払う、子どもたちの無病息災を祈る神事です。古くは「源氏物語」にもお払いをした形代を舟に乗せて須磨の海に流したと書かれています。昔から川には、浄化や供養の力があると信じられてきました。当時の乳幼児死亡率は現代とは比較にならないほど高く、赤ん坊のうちに亡くなることは珍しくなかったそうです。

もともと「ひな祭り」とは、季節の変わり目にある中国の五節句の一つ、「上巳(じょうし)の節句」といい、この日は川で禊ぎを行い邪気を払って祝いの宴を催していました。それが日本に伝わると「流しびな」の習俗になり、それが子どもの身代わりのひな人形へと移り変わり、女の子の健やかな成長を祈る「ひな祭り」、または旧暦の3月3日のころに桃の花が咲くことなどから「桃の節句」の行事となりました。

「節句」は中国から伝わってきた文化で、季節のことを「節」と呼び、奇数の月と奇数の日を足して偶数になる1日は悪いことが起こる日と考えられてきました。そのために、5月5日の「端午の節句(子どもの日)」、7月7日の「七夕の節句(七夕)」と、災いや邪気を払う行事があります。

「桃の節句」の桃に込められた意味は、魔除けと不老長寿の力を持つことから。『古事記』では、イザナギという神が死者の世界である黄泉から脱出する際、追ってくる魔物に3つの桃を投げつけ追い払ったと出てきます。『西遊記』では、不老不死に憧れる孫悟空が西王母の所有する不老長寿として描かれる桃を盗み食いするエピソードがあるほど。

「ひな祭り」の行事料理は、水辺に関係しているために海の幸が供えられます。ちらし寿司では、海老は腰が曲がるまでという「長寿」、蓮根は穴が空いているために「先の見通しが利く」、豆は「健康でまめに働く」など、縁起のいい食材が使われ、はまぐりのお吸い物は、昔からはまぐりはお姫様を意味し、二枚貝なので対の貝殻しか合わないことから良縁に恵まれるようにという願いが込められています。

そして、「菱餅」にはさまざまな言い伝えがあり、その一つに、赤・緑・白の3色のうち、赤は「花」を、緑は「大地」を、白は「雪」を表し、雪解け後の春をイメージしているという説、赤は「厄除け」を、緑は「健康と厄除け」を、白は「清らかな子孫繁栄」を表しているともいわれています。

春が待ち遠しい季節、日々の健康と幸せの願いを込めて季節の行事食を楽しみたいですね。

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参考資料
https://ja.wikipedia.org/wiki/雛祭り
https://ja.wikipedia.org/wiki/流し雛
https://ja.wikipedia.org/wiki/節句