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【猿】

子どものころ、誰もが一度は読んだことのある昔話には、猿が登場するものがいくつもあります。「桃太郎」では、桃太郎のお供として鬼退治に向かう、知恵のある勇敢な姿が描かれる一方、「さるかに合戦」では、ずる賢く意地悪い猿が返り討ちに遭うという、なんとも間抜けな姿が描かれています。「猿も木から落ちる」「猿真似」「犬猿の仲」など、普段よく耳にする慣用句・ことわざにも猿は登場し、時に愛らしく、時に小憎らしげに、日本では昔から親しまれてきた動物であることが分かります。

日本語の「猿」とは、比較的身近な動物であった「ニホンザル」を指す言葉として古来より使用されており、人間に似た姿形をしていることから、山神の使者や神そのものとされてきました。こういった猿への信仰は、平安時代に中国から伝来した「庚申信仰」とも結びつきます。かの有名な、日光東照宮の三猿も、庚申信仰に基づいて建てられた、「庚申塔」と呼ばれる石塔に彫り込まれるモチーフです。日吉神社や猿田彦神社など、全国には猿が象徴として扱われる神社も数多くあります。「魔が去る」や「災難が去る」といった猿にちなんだ語呂合わせから現在でも多くの人々の信仰を集めています。

また、猿は馬を守る守護者であるという伝承もあり、大名屋敷では、馬の安全を願う祭礼として厩(うまや)の周りで猿を舞わせる猿曳きという風習がありました。現在の猿回しはこの名残りです。これを生業とする人々は、馬医の役割も兼ねていたようです。日光の三猿がいるのも「神厩舎」と呼ばれる神馬のいる厩舎であり、日本における猿と信仰の密接な関係が反映されています。

自然体で自由気ままな猿の姿は、忙しなく生きる私たちがどこか羨ましさを感じるほどです。目が合うと思わず微笑みかけたくなるような愛らしい猿たちと、ご自宅で一緒に過ごしてみてはいかがでしょうか?

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参考資料
https://ja.wikipedia.org/wiki/ニホンザル#山神としてのニホンザル
http://sarutahiko-fukuoka.jp/history.html