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【にしんそば】

京都名物の一つとして挙げられる「にしんそば」。幼い頃から京都を訪れる機会が多く、そのたびに街中でよく目にしていたので、にしんそばはずっと京都の郷土料理だと思っていました。もちろん地元北海道でもニシン料理はよく食べていましたが、その点に関して特に気にかけたことはありませんでした。故郷である小樽市はもともとニシン漁で栄えた街です。よく考えると、なぜニシンが獲れないはずの京都でにしんそばが名物になっているのか疑問に思いました。

江戸時代から昭和初期ごろまで、北海道の日本海側では特に、ニシン漁が大変盛んでした。小樽市には鰊御殿(にしんごてん)という屋敷が残されており、当時どれだけ栄えていたかが分かります。獲れたニシンは身欠きニシン(干物)などに加工されて運ばれていました。この時に活躍していたのが北前船です。この北前船は北海道と大阪を結んでいて、途中の港で商品を売り買いしながら往復していました。よく積まれていたのがニシンと昆布で、大阪から関西圏に広まっていきました。

ニシンの棒煮や炊いたんは、今でもよく食べられていますよね。関西で昆布出汁が主流なのは、この昆布を使って寺院が精進料理として扱っていたことから一般にも普及したといわれています。

また、関西では蕎麦よりもうどんを食べる機会のほうが多いイメージですが、京都ではこれまた寺院の文化が根強く、昔から蕎麦もよく食べられてきました。そこで、京都にある「松葉」という蕎麦屋にて、北海道から運ばれたニシンと蕎麦が出会い、にしんそばが発祥したといわれています。もちろん北海道でもにしんそばは食べられており、小樽市の「藪半」というお店が有名です。

ちなみに京都と北海道のにしんそばには違いがあります。京都は薄口醤油で味付けされた澄まし汁で、九条ねぎなど青ねぎが添えられるのに対し、北海道では濃口醤油の甘めな味付けで、白ねぎが添えられることが多いようです。どちらのにしんそばがお好みか、食べ比べしてみてはいかがでしょうか?

晦庵 河道屋(写真のにしんそば。スティーブジョブズもよく訪れた名店です。三条ショールームから徒歩3分)
http://www.kawamichiya.co.jp/misokaan/shop/
三条ショールーム
https://www.shokunin.com/jp/showroom/sanjo.html
青龍窯 どんぶり碗
https://www.shokunin.com/jp/seiryu/donburi.html
松葉
http://www.sobamatsuba.co.jp/
藪半
https://yabuhan.co.jp/

参考資料
https://pikule.jp/which-is-the-root-of-nishin-soba-hokkaido-or-kyoto/
https://www.kitamae-bune.com/about/main/