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【麻】

麻は一種類の素材を表しているわけではないことをご存じでしょうか?麻は特定の植物を指すのではなく、茎や葉脈からとれる植物繊維の総称で、代表的なものに、ラミー(苧麻)、リネン(亜麻)、ヘンプ(大麻)、ジュート(黄麻)があります。日本ではヘンプ(大麻)とラミー(苧麻)が古くから使われてきました。家庭用品品質表示法で「麻」と表示できるのは、ラミーとリネンに指定されています。麻の代表的な特性は、繊維が強くシャリ感や張りがあり、涼感や吸熱と発散性に優れ、上品で光沢があります。そして植物性繊維のため生分解性にも優れ、土に還ることができるのです。

苧麻(ちょま・からむし/ラミー)はイラクサ科の多年生の草木類で、原産地は東南アジアといわれ、現在の主産地は中国、マレー半島、フィリピン、ブラジル。日本では縄文時代から使用されていました。

リネン(亜麻)は亜麻科の一年草で、その植物の靱皮から採った繊維をフラックス、フラックスで作った糸や布をリネンといいます。リネンは人類最古の繊維といわれ、紀元前8000年に世界文明の発祥の地のチグリス・ユーフラテス川に芽生えていました。古代エジプトでは、リネンは「月光で織られた生地(woven moonlight)」と呼ばれ、神事にも使用されました。古代エジプトのミイラを包んでいた布もリネンです。コーサカスから中近東、中国、インド、日本には明治時代にヨーロッパから入り、洋装に使用され普及しました。

ヘンプ(大麻)は桑科の一年草です。原産地は中央アジアと考えられ、現在の主産地は中国、ロシア、ルーマニアです。縄文前期に属する貝塚から発見され、苧麻と同様に綿が普及する前の中国から渡来した、最も古い帰化植物といわれています。ヘンプ(大麻)は本来「おおぬさ」と呼ばれ、神道の祭祀のお祓いの道具を指します。「ぬさ」とは本来は布のことで「大」は立派なといった意味の美称です。古代に貴重だった布は神様に捧げる物であり「大幣(おおぬさ)」ともいわれ、神社で神主がお祓いをする際に振っている棒のことです。紙垂(しで)と呼ばれる紙と麻苧(あさお)と呼ばれる麻の繊維の紐と、榊などの木の棒から作られています。伊勢神宮の御札は「神宮大麻」といいますが、この「おおぬさ」が名前の由来です。日本全国の神社を通して配られている伊勢神宮の天照大御神の日本全体を守る氏神様の御札です。

岡井麻布商店は1863年(文久3年)に創業した高級麻織物の奈良晒の織元です。奈良晒は麻を原料として手積み、手紡糸で糸を作り、昔ながらの手織機で織った麻布を、数回の晒し工程を経て真っ白く晒し上げて仕上げられた高級麻織物です。純白の美しさから江戸時代には奈良地方の主要な物産であり、徳川幕府の御用達品で武家や町民の贅沢品として用いられていました。現在も受け継がれている貴重な美しい伝統的工芸品を実際に目で見、手に取っていただき、そしてぜひお使いになってみてください。

岡井麻布商店 手織り麻ハンカチ
https://www.shokunin.com/jp/okai/handkerchief.html
岡井麻布商店 古代麻てぬぐい
https://www.shokunin.com/jp/okai/tenugui.html
岡井麻布商店 麻ふきん
https://www.shokunin.com/jp/okai/fukin.html

参考資料
https://ja.wikipedia.org/wiki/麻織物
http://www.jtco.or.jp/japanese-crafts/?act=detail&id=382&p=2&c=16
https://www.boken.or.jp/knowledge/fiber_information/natural_fiber/1895/
https://asabo.jp
https://ja.wikipedia.org/wiki/大麻_(神道)
https://ja.wikipedia.org/wiki/神宮大麻