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【それは天上の宝石】

ガラスというのは光を受けて輝いているかと思えば、まるで内側に炎をたたえているかのように自ら発光して見える時もあり、薄暗い空間で手に取って目をやると、果てしもなく遠い宇宙で途方もなく高い温度で燃える、星の生命に触れているような不思議な感覚になることがあります。

オレンジとブルーの2色が絶妙のバランスで1つのグラスの形を作る、スガハラの「デュオ」と初めて出会ったのはもう15年近く前のこと。市街地と日常から少し離れた静謐な宿で使われていた、その時はまだ名前を知らないオールドグラスをなぜかずっと覚えていたのは、それが当時夏が来るたび天体望遠鏡で覗き込んではその美しさにときめいていた、ある星の姿と重なっていたからです。

夏の夜空でひときわ目を引くのが、七夕の星であること座のベガとわし座のアルタイル、そして、はくちょう座のデネブの3つの星を結んでできる「夏の大三角」です。その中でもっとも暗く見えるデネブから、ベガとアルタイルの間に向かって星を十字を結んだ先、白鳥のくちばしのところで輝いているのがはくちょう座のβ星「アルビレオ」。肉眼では1つの星に見えるアルビレオは、双眼鏡や望遠鏡で見るとオレンジとブルーの2つの星に分かれて見える二重星であることが分かります。宮沢賢治はこの星を童話『銀河鉄道の夜』の中で、「眼もさめるような、青宝玉と黄玉の大きな二つのすきとおった球」と、宝石のサファイヤとトパーズになぞらえています。

夏休みの間、各地の天文台やイベントで開催される観望会に参加する機会があれば、ぜひ天上の宝石「アルビレオ」を望遠鏡で見てみてください。何百年もかけて宇宙を旅した星の光が、レンズを通してすぐそこで輝くさまからは、肉眼で空を眺めるのとはまた違う魅力を感じられます。

デュオは、1996年の発表以来、大ヒットを続けているスガハラの代表作です。すっきりとしたフォルムの中に、ハンドメイドならではの技法で色を重ねました。お手元で楽しめる「天上の宝石」に好きな飲み物を注いで、この夏は星空も一緒に楽しんでみてはいかがでしょうか?

Sghr スガハラ デュオ オールド
https://www.shokunin.com/jp/sugahara/duo.html

参考資料
https://www.543life.com/star/mitsukekata201708.html
https://www.honda.co.jp/outdoor/knowledge/constellation/picture-book/cygnus/
http://www.science.pref.fukuoka.jp/tenmon/tenmon_jouhou/2007spring.html
https://kotobank.jp/word/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%93%E3%83%AC%E3%82%AA-816480
https://www.nao.ac.jp/gallery/stellar.html (国立天文台)