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日本でのファストフードは立ち食いそばのイメージですが、古くはお茶漬けでした。

お茶漬けの元祖は湯漬けや水漬けというご飯にお湯や水をかけただけのもので、飛鳥時代までには上流階級において一般的な食べ方であったと『日本書紀』に記述されています。

湯漬けは食欲の低下する夏場に暑さからの腐敗予防に米を洗い流してからの水飯として、冬場は冷えた米を温めデンプンの再糊化させることと、水分を補いおいしく食するのに有効でした。

平安時代にはダイエット食としても使われ、鎌倉時代から戦国時代までは武士の常食、元禄時代は庶民のファストフードとして茶漬屋がありました。

茶漬けが出てきたのは番茶や煎茶が庶民の嗜好品に普及として定着した江戸時代中期といわれています。煎茶にはうまみ成分の若干のグルタミン酸ナトリウムが含まれているので、お茶の香りと共においしく食べることができます。

炊飯器のない時代は炊いたご飯はおひつで保存していました。現代の一般的な炊飯器での保温は保温時間が長いと黄色のおこげのようになるメイラード反応と、ご飯にもともと存在している高温でも死滅しないバチルス菌によって腐敗が進んで嫌な匂いが発生するため、おいしく食べられなくなります。一方、おひつでは炊きたてのご飯の粗熱と余分な湿気を取り除くことでよりおいしく、木材の殺菌効果でご飯は痛みにくくなります。先人の知恵が詰まったおひつは今も使われ続けています。

もう一つ、最近は冷えたご飯が健康に良いといわれています。温かいご飯は消化しやすいでんぷんですが、冷めると「難消化性でんぷん(レジスタントスターチ)」という消化しにくいものに変わり、そのでんぷんの腸内での働きによって脂肪がよく燃えるという研究からだそうです。

山形県に「水まま」という、洗った冷やご飯に冷水をかけて、東北地方の保存食のおかずと共に食す郷土料理があったりしますが、お茶漬けは現代的な健康食のファストフードとして日常に取り入れても良さそうですね。

栗久 曲げわっぱのおひつ
https://www.shokunin.com/jp/kurikyu/ohitsu.html
青龍窯 飯茶碗
https://www.shokunin.com/jp/seiryu/chawan.html
南部文秀堂 急須 文高型あられ
https://www.shokunin.com/jp/bunshudo/kyusu.html
鋳心ノ工房 山形鋳物の鍋敷き
https://www.shokunin.com/jp/chushin/

参考資料
https://ja.wikipedia.org/wiki/茶漬け
https://ja.wikipedia.org/wiki/湯漬け