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【秋の夜長を灯火と共に】

秋の夜長、虫の音が響き秋が深まる頃になりました。長い夜を蝋燭の灯りで心穏やかに過ごすのも良いですね。

日本独自の和蝋燭はよく神社やお仏壇で使用されています。自然由来の植物原料を使用し、日本古来の方法で1本ずつ手仕事により作られてきました。

和蝋燭は奈良時代に中国から仏教伝来とともにミツバチの巣から採れるろうの蜜蝋燭が伝わったことが始まりといわれています。日本では松脂から室町時代になって漆や櫨(はぜ)の木の原料が主流になりました。和蝋燭は高級品で、庶民は灯明皿に菜種油を入れ、灯芯を浸した灯りを使うことが一般的だったようです。

和蝋燭は独特の燃え方がその特徴です。燈芯は円筒型にした和紙にい草の茎の髄(ずい)を巻き付けて芯を作り、ろうを塗り込みます。芯には空洞があるために空気の流れが生まれ、空気がなくても炎がゆっくりと揺らめき、神秘的で情緒のある雰囲気を醸し出します。そして、芯が太いことによって多少の風でも消えることはありません。植物性の原料のみを使っているために油煙が少なく、融点が低いためにほの暗いオレンジ色の炎を灯し、優しく目に映る灯火になります。

絵蝋燭は灯りだけでなくお供えの意味合いもあります。火を点けることなくお花の代わりにお供えします。

受け継がれる日本の炎の美しさを、秋の夜長に楽しんでみてはいかがでしょうか?

中村ローソク 木蝋棒型
https://www.shokunin.com/jp/nakamura/mokurobogata.html
中村ローソク 絵蝋燭
https://www.shokunin.com/jp/nakamura/erousoku.html

参考資料
https://ja.wikipedia.org/wiki/ハゼノキ
http://www.mogurin.or.jp/museum/project/sara.html
https://corporate.murata.com/ja-jp/more_murata/techmag/metamorphosis16/works
https://www.fujingaho.jp/culture/craft-tableware/g34279600/kyoto-craftsman-tagawa-candle-201009/?slide=9