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【赤飯と南天】

出来たての赤飯を重箱に詰めて、庭先の南天を手折ろうとした時にふと思いました。
どうして赤飯には南天の葉を添えるのでしょう?

南天は、一年を通じて緑の葉を見ることができる常緑樹で、
晩秋から初冬にかけて小さい灯火のような赤い実をつけます。
瑞々しい緑と鮮やかな赤の対比は、色彩の少ない冬の庭に彩を与えてくれることもあり、
観賞用の庭木として古くから愛されてきました。

南天の名前は「難を転ずる」に通じることから縁起が良いとされ、
赤い実は災厄を遠ざける力があると信じられていました。
江戸時代には、寺島良安が編纂した百科辞典『和漢三才図会』の中で、
「これを庭に植え火災を防ぐ」と、火災除けの植物として紹介されています。

赤い色が邪気を払うという考え方は古代から信仰されており、
赤飯の原型である赤米も、かつては神様にお供えする風習がありました。
また、赤い実がなる縁起の良い南天の葉と、慶事の食べ物の象徴である赤飯の組み合わせは、
「重箱に南天を敷き、赤飯を詰める」という江戸時代の記述に見られるように、
この頃にはすでに存在していたことが伺われます。
しかし、これは厄除けや縁起ものとしての理由だけではなく、
南天の葉に含まれる「ナンジニン」という成分が、赤飯の熱と水分と反応して発生するチアン水素によって、
赤飯の腐敗を抑えるという実利にも基づいていたようです。
ナンジニンは本来有毒成分ですが、微量であれば殺菌や防腐作用を発揮するという特性があります。

今では生の南天の葉の代わりに、赤飯のパッケージに南天のイラストが印刷されていたり、
南天の葉の形をしたフィルムが載せられたりするのも見かけられます。
普段の暮らしに溶け込んでいる組み合わせやデザインを紐解いてみると、
先人が編み出した生活の知恵が詰まっていることに驚かされます。

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参考文献
https://irodori.co.jp/2021/02/16/%E7%B8%81%E8%B5%B7%E3%81%AE%E8%89%AF%E3%81%84%E5%8D%97%E5%A4%A9%E8%91%89/
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8A%E3%83%B3%E3%83%86%E3%83%B3