【300年以上続く、謙虚な姿勢】
京都市と東京・銀座に本店を置く鳩居堂。私たち職人.comと同じで勝手に親近感を抱いております。鳩居堂は、お香・お線香・書画用品をはじめ、和風絵葉書・便箋等を求めて訪れる方も多いのではないでしょうか。創業は1663年(寛文3年)、江戸時代から続く老舗です。当初は薬種商として、京都・寺町の本能寺門前にて始まったそうですが、1700年に薬種の原料が「香」と共通することから、薫香線香の製造が始まり、同時期に薬種原料の輸入先である中国から書画用文具を輸入し、販売を始めたそうです。
また、鳩居堂という屋号は、儒学者・室鳩巣(むろきゅうそう)により、中国最古の詩集といわれる「詩経」の一説、「維鵲有巣 維鳩居之」(これカササギの巣あり、これ鳩之に居る)からと、儒学者・頼山陽の「鳩居堂記」に記述されています。これは、「鳩は巣作りが下手で、カササギの巣に平気で住んでいる」、すなわち「借家住まい」であることを意味しています。老舗なのに借家住まいを意味する屋号とは、不思議に感じる方もいらっしゃるかもしれません。実際に、4代目の主人は、ある人にそれを指摘され、回答に困ってしまったようです。その際に、頼山陽は、4代目にこう伝えました。
家であれ国であれ、自分一代で成ったものではなく先祖代々受け継いできたものであり、いわば先祖の家に借家住まいしているようなものである。そして、それが衰えたり滅びたりするのは、そのことを忘れて自分のものだと思ってしまうからだ、と。
つまり、「店は、ご先祖様や世間からの借り物、預かり物であるということを忘れず、謙虚な気持ちで商いに励め」というメッセージが込められているということです。
とても素敵な由来だと思いませんか。これを知った時、なんだか私たち人間が忘れてしまっている視点なのではないかと、ハッとさせられました。「いつ何時も謙虚な姿勢を忘れない」、そういった姿勢が300年以上続く所以なのだと感じました。
私たちもこれからも長く続けていけるように、そして私たちが発信する手仕事品が続いていくように、謙虚な姿勢を忘れずに商いを続けていきたいと思いました。
職人.com銀座ショールーム(金土日月の12-18時に営業)
https://www.shokunin.com/jp/showroom/ginza.html
東京鳩居堂 銀座本店
https://goo.gl/maps/BWxanVnvMd51xwAV9
参考資料:
http://www.kyukyodo.co.jp/about/history.html