2025年12月

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ぴあ発行『ときめくレトロ建築めぐり 関西版』にて、職人.com三条ショールームをご紹介いただきました。ぜひお近くの書店でお手にとってみてくださいませ。

三条ショールーム
https://www.shokunin.com/jp/showroom/sanjo.html
『ときめくレトロ建築めぐり 関西版』
https://amzn.to/4rvqJFP
メディア掲載履歴
https://www.shokunin.com/jp/etc/media.html

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【マレーシアのプラナカン文化】

アジアには異国の文化が幾重にも重なり合うことで、独自の輝きを放つような場所があります。今年の夏訪れた、マレーシアのペナン島や古都マラッカ。古い街並みや食文化に触れていると、まるで色鮮やかな万華鏡を覗き込んでいるような感覚に陥りそうでした。その理由が、「異国同士の混ざり合い」が生んだプラナカン文化です。華やかな建築、スパイシーな香りのニョニャ料理、そしてそこから伝わってくる美意識は、単なる「どこか遠くの異文化」というよりも、私たちの視点にも近い、「丁寧な暮らしと文化の継承」を大切にしてきた異文化として心に響くものがありました。

プラナカン(Peranakan)とは、マレー語で「ここで生まれた子」を意味する言葉で、15世紀ごろから新天地を求めて中国のおもに南部(福建省や潮州、広東など)から、マレー半島やシンガポールなどに移住してきた中華系移民の男性と、現地のマレー・インドネシア系女性との間に生まれた子孫を指しています。彼らは総称して「ババ・ニョニャ」と呼ばれ、男性はババ(Baba)、女性はニョニャ(Nyonya)と称されています。そのため、プラナカン文化は「ババ・ニョニャ文化」ともいわれています。プラナカン文化の最も重要な特徴は、その融合性にあります。中国文化を核としながら、現地マレー(インドネシア)文化、さらにはポルトガルやオランダ、イギリスといった植民地時代に入ってきたヨーロッパ文化が混ざり合い、独自の生活様式や美意識が育まれました。この文化が誕生した背景には、マラッカなどが東西貿易の主要な港として栄え、中国をはじめとする諸外国から多くの商人が出入りし、多様な民族・文化背景の人々が交じり合った歴史があります。

世界遺産であるジョージタウンやマラッカの旧市街を歩くと、その街並み自体が壮大な「異文化の融合」の場であることに気付かされます。「ショップハウス」と呼ばれる2階建て家屋の外観には、色とりどりの化粧漆喰の壁が用いられ、両開きのフレンチウインドウのようなヨーロッパ風の要素も見られます。またアクセントとして掲げられた「漢字の看板」にも、融合文化の面白さが感じられます。通常、ショップハウスは職住一体の町家のように、1階が店舗、2階が住居となっており、細長い建物の中央に中庭が設けられている構造も特徴的です。建物の外壁や足元のタイルに至るまで、重厚でありながらときに愛らしく、緻密さの中にもポップな愛嬌のようなものが感じられ、街歩きが進むほどにどんどん心が惹かれていきました。

そんなプラナカンの邸宅をそのまま利用した博物館が、マラッカにある「ババ・ニョニャ・ヘリテージ博物館」。1896年に建立されたチャン一族の邸宅が元になっているもので、4世代に及ぶチャン一族が、実際にこの家で暮らした歴史の足取りを見ることができます。邸宅は、中国、マレー、オランダ、ポルトガル、コロニアルなど、異なる様式を取り込んでおり、その華麗な暮らしぶりを間近で感じることができました。風通しの良いフロアにたくさんの窓、今にも当時の住人たちが顔を出しそうな雰囲気があり、家族の食事を一手に担ったであろう台所には、過去に使われていた鍋や鉄瓶などの料理道具がそのまま展示され、ここが暮らしの場所であったことを語りかけてくるようです。寺院の欄間を思い起こさせるような壁のアーチや、パステルカラーの柄が印象的なカラフルな磁器、美しい刺繍が施された寝具などにも、東洋と西洋の様式が混在する独自の美意識が凝縮されていました。

そして、プラナカン文化における食「ニョニャ料理」も、建築と同じく融合の結晶と言えるものです。実際に味わったニョニャ料理からは、スパイスやココナッツといったマレーならではの食材と、中華の食材が組み合わされ、中華料理の手法で調理されていることもあって、私たちの舌にも親しみやすい要素があるように感じました。その香りは豊かでスパイシーでありつつ、中華の旨味がしっかり土台にあるため、驚きとともに食欲が刺激されます。また、バタフライピーの花の色をつけて炊いた青いご飯や、パンダンリーフの香りと緑色が特徴のゼリー「チェンドル」など、この旅で初めて出合う料理も多く、その多様性と目を見張るほどのおいしい料理の連続に、すっかりマレーシア料理のファンになって帰国の途に着きました。

プラナカン文化は、交易港という歴史的背景のもと、異文化の融合によって生まれた特異な美的感覚や生活文化を確立しました。それらは、手間ひまを惜しまない装飾へのこだわりや、料理の緻密さにも現れています。一方で、チャン一族が邸宅を一族が暮らす場所から祖先を祀る場所へと変化させた歴史が示すように、家族や祖先を大切にする精神、そして豪華な調度品に見られるおもてなしの精神など、私たち日本人にとっても共感し、親しみやすい要素も多く存在します。本来、伝統や文化とは最初からあった固定のものではなく、異なる要素がぶつかり合う中で良いものが取り入れられ、混ざり合うことによって力強く進化してきました。プラナカンのような「混ざり合いの文化」を体験することは、人類が歩んできたその歴史を垣間見られる貴重な機会ではないでしょうか。

ペナン・プラナカン・マンション
https://maps.app.goo.gl/XgcgSEuUwsZeEF3Q9
ババ・ニョニャ・ヘリテージ博物館
https://maps.app.goo.gl/CDzapEDTRbZqghfn6
Jason Nyonya House
https://maps.app.goo.gl/oc4fh1dHTDp4Mot8A
Jonker Kitchen
https://maps.app.goo.gl/GvbqVym9aqHDoVhL8

参考資料
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%A9%E3%83%8A%E3%82%AB%E3%83%B3
https://tonyjsp.com/food/babanyonya/index.html
https://www.asahi.com/and/travel/article/15792804
https://cham.lifestylinglog.com/baba-nyonya-heritage-museum/

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【日本発祥の「塩パン」】

生地にバターを練り込み、表面に岩塩をのせて焼き上げるシンプルな「塩パン」。今ではパン屋さんの定番商品としてよく見かけ、コンビニなどでも販売されています。この塩パンは日本発祥で、愛媛県八幡浜市にある「パン・メゾン」というお店で2004年に誕生しました。パン業界で1日100個売れたらヒット商品といわれる中、2018年ごろには1日に6000個も売れるパンとしても話題になりました。

開発当初、さっぱりとしたものが売れる夏場はパンの売り上げが良くないことから、夏にでも売れるパンの開発を試行錯誤されていたようです。その時に作られたのが塩分補給ができる塩パンでした。県外のパン屋さんへ修行に行っていた息子さんからの、「フランスパンに塩を振ったパンが売れている」という情報をきっかけに作られたそうです。子どもから大人まで食べやすいように、柔らかいフランスパンにたっぷりのバターで生地を作り、企業秘密の塩は振りすぎても辛くならない岩塩を使用しているそうです。

販売開始してまもなくは、見た目が似ている「バターロールパン」よりも10円高いこともあり、売れ行きが芳しくなかったとのことです。しかし、「パン・メゾン」がある愛媛県八幡浜市は四国一の規模を誇る魚市場があり、市場で働く人や県外から市場に来る人の間で広まりました。また、地元の学生の間でもおいしいという評判が生まれ、じわじわと口コミによって人気となっていきました。

本店は愛媛県八幡浜市にありますが、東京にも塩パン専門店として「すみだ浅草通り店」「銀座店」「新宿店」の3店舗があります。先日銀座店に行った際には行列ができており、出来上がったパンが次々と運ばれていました。並んでいる人の中には韓国の方も多く、韓国でも有名なのかと調べてみたところ、韓国語で「ソグムパン」として人気のようです。

塩パンは、外がカリッと中はモチッとした食感があり、それぞれの素材の良さが絶妙なバランスで、パンのおいしさが引き立てられています。開発の際にどのような想いや背景で作られたのかを知ると、よりパンのおいしさを味わうことができるなと感じます。

お店ではホームページには掲載されていない季節のパンなどもいくつか店頭に並んでいます。塩パンはもちろんのこと、塩パンで作られたあんバターパンや明太パンなどもとてもおいしかったです。「塩パン屋 パン・メゾン 銀座店」は銀座ショールームから徒歩8分で行くことができます。ご興味がありましたら、銀座ショールームにお立ち寄りの際にぜひ訪れてみてください。

塩パン屋 パン・メゾン
https://shiopan-maison.com/
銀座ショールーム
https://www.shokunin.com/jp/showroom/ginza.html

参考資料
https://camelia.co.jp/magazine/book/184
https://tabi-labo.com/287605/painmaison-yawatahama
https://wanjeon.tv-aichi.co.jp/120-article/