2025年09月

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【思い出の食器】

皆さまには、「思い出の食器」はありますか?

私にはあります。小学校1年生か2年生のころ、我が家にアヒルのマグカップが2個やってきました。もしかしたらほかにもボウルやポットがあったのかもしれません。でも当時小学生だった私の心を撃ち抜いたのは、とにかくマグカップ2個。それが、セラミック・ジャパンのアヒルマグでした。

小学生、それも低学年の私と幼稚園児の妹は、すぐにそのマグを使いたがりました。つるんとした気持ちのいい質感、アヒルの顔をかたどった取っ手、優しい目。なんてかわいいんだろう、と一目で大好きになったのを覚えています。ちょうど2つあるのだから、姉妹で一つずつ使えばいいじゃないか。と、すぐさま母に使わせてほしいと交渉しました。しかし、母は首を縦に振りません。小さな子どもには少し大きめのマグで、しかも陶磁器製。落として割ってしまうかもしれない。事故やケンカの揉め事の種は事前に摘んでおきたい――今なら母の気持ちがよく分かります。

それから数日後、アヒルマグの“使用許可”が出ました。ただしマグカップとしてではなく、「色鉛筆立て」としてです。カップの底にはキッチンペーパーが敷かれ、色鉛筆を立てて、それぞれの机に置かれました。飲み物を入れて使うことは叶いませんでしたが、手元にあって、いつでも目に入るだけで、十分に満足したのを今でも覚えています。色鉛筆立てではあっても、私たち姉妹にとっては大切な“食器”でした。

実は2年ほど前に、一般客として訪れた小樽ショールームでアヒルのクリーマーと再会し、すぐに2つ購入しました。もちろん、1つは妹へのプレゼント。私は今、コーヒーはブラック派なので、クリーマーは花器として使っています。用途は違っても、大切にしたい気持ちは変わりません。

思いがけず、人生に組み込まれていくような器との出会いがあるかもしれません。ぜひ、小樽ショールームに足をお運びください。

セラミック・ジャパン アヒル
https://www.shokunin.com/jp/ceramicjapan/ahiru.html
小樽ショールーム
https://www.shokunin.com/jp/showroom/otaru.html

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昨日、オープニングスタッフとして今年の春まで働いてくれた小樽ショールームの元スタッフから注文をもらい、とても嬉しく思いました。

あまり表には出してこなかったのですが、当店では一人一人のスタッフをとても大切にしており、長く働ける環境づくりに力を入れています。在庫を抱える商売のため、本当は日の当たらない場所のほうが適しているのですが、当店ではすべてのショールームおよび本社・倉庫に日光が入ります。スタッフに日の当たる環境で働いてもらいたいと思っていることが大きいです。ショールームや本社・倉庫が、国登録有形文化財をはじめとする歴史的建造物にあるのも、お客様はもちろんのこと、スタッフが6時間じっとしていても快適に過ごせるかどうかを考えてというのもあります。

結果、日本人・外国人問わず、これまでたくさんのスタッフが、数年間という大変貴重な時間を使い、多大なる貢献をしてくれました。退社後にもこうやってたまに交流があったりもし、人との出会いこそ人生において最もすばらしいものだと再認識させてくれます。

当店のスタッフは、それぞれのライフスタイルに合わせて月に1~2回だけ入る人も多くいるため、状況により休業日が増えそうになった際に新規募集をしております。ご縁を感じられた方はぜひ職人.comのスタッフに加わってみてください。

スタッフ募集
https://www.shokunin.com/jp/etc/boshuu.html

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【雅叙園】

2025年10月1日から、一時休館となることが決まった「雅叙園(がじょえん)」。1931年(昭和6年)に東京・目黒の地に誕生し、日本初の総合結婚式場でもある雅叙園は、かつて「昭和の竜宮城」と呼ばれました。

「ホテル雅叙園東京」の前身である「目黒雅叙園」のルーツは、創業者の細川力蔵が東京・芝浦にあった自宅を改装した純日本式料亭「芝浦雅叙園」です。明治以降近代化が進む中で、一般人や家族連れなどより多くの人々が気軽に入れる料亭として、目黒雅叙園は作られました。美術品や漆・金箔で彩られた絢爛豪華な内装は、誰もが一日「お大尽気分」で優雅に過ごせるように、という創業者の思いが込められたものでした。

当時、結婚式といえば、美容・着付、記念写真、挙式をそれぞれ別々の場所で行い、料亭やホテルに移動して披露宴というスタイルが主流でしたが、場所の移動は特に雨の日などは花嫁や参列者にとって大変な苦労でした。そこで創業者は、雅叙園の館内に結婚式に必要な機能を集約することを思いつき、一つの施設に神殿・衣裳室・美容室・写真室・宴会場を集めた日本初の総合結婚式場としての歴史が始まりました。創業88周年を迎えた2017年(平成29年)には、施設名称が「目黒雅叙園」から「ホテル雅叙園東京」に変更されました。

数々の美術工芸品に彩られる雅叙園の名所のような存在が、雅叙園で現存する唯一の木造建築である「百段階段」。1935年(昭和10年)に建てられ、2009年(平成21)に東京都の有形文化財に指定されました。以前、雅叙園を訪れた際に初めて百段階段へ。高低差16mの傾斜地に建てられたからこそ生まれた99段の長い階段廊下を見上げると終わりが見えず、この夢の中のような異様な世界観がどこまでも続いているようでした。晴れやかな宴が行われた7部屋を階段廊下がつなぎ、各部屋の天井や欄間には当時屈指の著名な画家たちが創り上げた美の世界が描かれています。

直近では、友人の結婚式に参列するため、再び雅叙園へ行ってきました。披露宴会場もウェルカムスペースも、黒漆に蝶貝をはめ込んだ螺鈿や、壁画に天井画、とにかくどこに目をやっても細部まで美しく華やかで、煌びやか。最近の研究によると、雅叙園の装飾は桃山風、さらには日光東照宮の系列、あるいは歌舞伎などに見られる江戸文化に属するものとも言えるとか。雅叙園が現在まで残る日本の伝統的な美意識を感じられる場所の最高峰の一つであったことは、間違いありません。突然の一時休館のニュースに驚かされましたが、この日本の宝のような文化遺産が正しく未来へ受け継がれていくことを願うばかりです。

ホテル雅叙園東京
https://maps.app.goo.gl/vxvEdNnZhG18Pr3X6
ショールームのご案内
https://www.shokunin.com/jp/showroom/

参考資料
https://www.hotelgajoen-tokyo.com/history