2025年09月

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【カステラと姫フォーク】

自宅でカステラを食べるとき、ごく自然にコーヒーを淹れ、カステラをお皿にのせたところで、ふと添えるカトラリーに戸惑いました。来客に出す場合を改めて考えると、カステラは和菓子という分類から、菓子楊枝や菓子切りを添え、飲み物も日本茶のほうが適していそうです。ただ、コーヒーと一緒に食べるとなると、フォークのほうが良いのかしら、と考えを巡らせました。

カステラは、見た目や質感がスポンジケーキのようで、名前もどこか洋菓子のような存在感があります。とはいえ、洋菓子でよく使われるバターやクリームなどは使用せず、基本の材料は卵・砂糖・小麦粉・水飴だけというシンプルなものです。和菓子に多く見られる小豆なども使われておらず、季節感はないものの、均等な長方形の形は美しく、紙で丁寧に包まれた包装には、心が添えられているような日本らしさを感じます。

カステラは16世紀半ば、開港したばかりの長崎港にやってきたポルトガル人によって伝わったといわれています。スペインの「カスティーリャ王国のパン」として長崎の人々に紹介されました。江戸時代には砂糖が高価だったため、武家や商人の間で高級菓子として広まり、やがてその由来となる「カスティーリャ」の名前だけを残し、日本人の口に合うよう改良が重ねられ、誰もが知る長崎カステラへと発展しました。海外からの文化が日本独自の形に変化したことで、カステラは洋菓子と和菓子のちょうど境目にあるようなお菓子となったのです。

さて、そのカステラに添えるカトラリーを選ぶとなると、和と洋の要素を持ち合わせたちょうど境目のものがしっくりくるのではないかと考えました。姫フォークは、ケーキフォークより一回り小さく、日本以外の国ではあまり見られません。諸説ありますが、そのかわいらしさを「姫」と表現し名付けられ、日本国内で広まったとされています。海外の文化を受け入れ、日本独自の形となったという点に、どこかカステラと似た歴史の背景を感じませんか。

東屋の姫フォークは、手のひらにすっぽりと収まるほど小さく、かわいらしい印象があります。そっとお皿に添えると、お菓子や果物が一段と引き立ちますし、豆皿とも相性が良いため、おつまみやお漬物に楊枝代わりに添えると、食卓がきりりと引き締まる気がします。それは、一本一本が熟練の手仕事から生まれる、美しいフォルムと輝きによるものかもしれません。真鍮製の姫フォークは、使い始めは光沢のある黄金色ですが、使ううちに味わいや深みが増し、その小さな存在が、長く大切に使い続けたくなるようなカトラリーの一つになるのではないでしょうか。

東屋 姫フォーク
https://www.shokunin.com/jp/azmaya/himefork.html
柳宗理 カトラリー
https://www.shokunin.com/jp/yanagisori/cutlery.html
東屋 印判豆皿 桃
https://www.shokunin.com/jp/azmaya/inbanmame.html
庖丁工房タダフサ 基本の3本 パン切り
https://www.shokunin.com/jp/tadafusa/houchou.html

参考資料
https://azmaya.co.jp/products/p35
https://www.castella.website/category/nagasakicastella/
https://shooken.com/history/
https://nagasaki-touan.com/taiken/history-of-castella/

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【ショールームから船に乗って】

若松ショールームのある北九州市も、少しずつ日が短くなり、気温も落ち着いてきて、風や雲、虫の声に秋の気配を感じるようになりました。ショールームが営業を終える18時には、涼しさもあり過ごしやすさを感じたので、気の向くままに若戸渡船に乗って戸畑区へ渡ってみました。片道100円、乗船時間は約3分の短い船旅です。

船を降りてJR戸畑駅方向に歩いて8分ほどのところに、「そば処 武蔵」があります。若松から船に乗って訪れるのは初めてのこと。行き方を変えるだけでとても特別な気持ちになったので、ショールームへお越しの皆さまにおすすめしたいと思います。

「そば処 武蔵」は、福岡県春日市に本店があり、戸畑区と小郡市にも店舗を構えるお蕎麦屋さんです。うどん文化の根強い福岡県にそばを広めたいとの思いで開業されたそうです。北九州市内で「おいしい蕎麦屋」として必ず話題に上がる有名店の一つです。

創業当時からの看板商品は、柚子胡椒が入った揚げ豆腐がのった「武蔵そば」。とろみのあるお出汁に、風味豊かでさっぱりとした大根おろしとねぎが盛られています。湯気が立ちのぼるお出汁は、体をぽかぽかと温めてくれ、暑い季節をやっと越えて辿り着いたご褒美のようにも感じられました。

若松ショールームにお立ち寄りの際には、目の前の渡場から対岸へ渡り、周辺のお散歩もあわせていかがでしょうか?目的地を持たずに船に乗ると、非日常な時間を楽しめることでしょう。10月からは18時に若戸大橋がライトアップされます。海上から見上げるダイナミックな若戸大橋と水面に輝く若松の街並みもぜひお楽しみください。若松ショールームでお待ちしております。

若松ショールーム
https://www.shokunin.com/jp/showroom/wakamatsu.html
そば処 武蔵
https://musashisoba.co.jp/tobata-store/

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【シンガポールのカヤトースト】

ココナッツを使った料理や加工品が多い東南アジア。その中でも特におすすめなのが、ココナッツミルク、卵、砂糖、そして香り豊かなパンダンリーフから作られる「カヤジャム」です。砂糖を加えてじっくり煮詰めることで生まれる濃厚な甘さは、どこか懐かしいような味わい。このカヤジャムをたっぷり塗った「カヤトースト」は、子どもからお年寄りまで広く親しまれる、シンガポールの定番ブレックファストの一つです。

「カヤトースト」が生まれたのは1919年。海南島からの移民が営んでいたキリニーロードのコーヒーショップ「Kheng Hoe Heng」で、炭火で焼いた香ばしいトーストに、カヤジャムとバターを挟んで提供したのが始まりとされています。甘さと塩気が絶妙に絡み合う味わいは、当時の忙しい朝を過ごす人々にとって格好の朝食となり、瞬く間にシンガポール中へ広まりました。やがて1992年には、この店の15年来の常連客が味を受け継いで「Killiney」として展開。今では40店舗以上を構えるチェーンとして、シンガポールの歴史と共に歩んできた伝統の味を今に伝えています。

カヤトーストを味わうなら、ローカルでの楽しみ方をぜひ体験したいもの。定番は、カヤトーストとドリンク、そして半熟卵のセットで、ドリンクはシンガポールスタイルのコーヒー「kopi(コピ)」や、紅茶「teh(テ)」を選ぶのが一般的です。小皿に割り入れられた半熟卵に、ダークソイソースと胡椒を好みの量だけ加えてよくかき混ぜ、そこにカヤトーストをディップして食べるのが現地流。甘いトーストとしょっぱい半熟卵のバランスが絶妙で、交互に味わうことで最後まで飽きずに楽しむことができます。もちろん、カヤトーストはそのまま頬張ったり、半熟卵をスプーンですくって食べたりするのも自由。カヤトーストは食べ方に決まりがない分、幅広い楽しみ方ができるのも魅力です。

カヤジャムはシンガポール土産としても人気なほか、近頃は日本でもスーパーや輸入食材店で購入することができます。カヤトーストに使われるパンは、全粒粉パンのような茶色いパンが定番で、ほとんどが薄くスライスされています。今回は普通の8枚切りの食パンを、辻和金網の手付き焼き網を使って直火でカリッと焼き上げ、カヤジャムをたっぷり塗ってバターを挟みました。カヤトーストは、もやい工藝のケヤキのパン皿や、GLOCAL STANDARD PRODUCTSのCafe Trayによく合います。半熟卵は、白木屋漆器店の手塩皿のような少し深さがある器に入れると、トーストをディップしやすいのでおすすめ。ヨシタ手工業デザイン室のレンゲスプーンを使えば、とろとろの半熟卵もしっかりすくえます。

カヤジャムの甘みとバターの香り、半熟卵に醤油が絡んだしょっぱさ。まろやかなジャムと卵、そしてサクッとしたトーストの歯応え。調和とコントラストを楽しみながら、ぜひシンガポールの朝をご自宅で体験してみてください。

カヤジャム
https://amzn.to/483fWLF
もやい工藝 ケヤキのパン皿
https://www.shokunin.com/jp/moyai/
GLOCAL STANDARD PRODUCTS Cafe Tray
https://www.shokunin.com/jp/glocal/cafetray.html
白木屋漆器店 手塩皿
https://www.shokunin.com/jp/shirokiya/teshio.html
一陽窯 マグカップ 小
https://www.shokunin.com/jp/ichiyou/mug.html
THE 醤油差し
https://www.shokunin.com/jp/the/
ヨシタ手工業デザイン室 レンゲスプーン
https://www.shokunin.com/jp/yoshita/cutlery.html
辻和金網 手付き焼き網
https://www.shokunin.com/jp/tsujiwa/tetsuki.html

参考資料
https://yakun.jp/kaya-toast/
https://singalife.com/category/105752/