2025年07月

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【どくだみの話】

雨上がりの道ばたや庭先にふと漂う、「どくだみ」の花の香り。必ずしも花の匂いは癒やされるわけではないと感じてしまいますが、梅雨の季節を感じさせ、白くかわいい花部分とハート型の葉っぱ、その独特な匂いとたくさんの効用から、一概に雑草とは言いきれない植物です。

どくだみは、ゲンノショウコやセンブリと並ぶ「日本の三大民間薬」の一つ。「十薬」とも呼ばれる漢方薬としても知られ、食べられる野草でもある有能な植物です。東南アジアには広く分布し、タイやベトナムでは香草として、中華料理では炒め物などに使われる食材でもあるそうです。

どくだみの英語名は「fish mint」または「fish herb」で、中医学では「魚腥草(ぎょせいそう)」と呼ばれています。葉や茎をちぎったり揉んだりしたときに発する独特の強い香りが、「魚の生臭さ」や「魚が腐ったような臭気」に例えられたのでしょう。日本語名では諸説ありますが、有力とされる「毒溜(ドクダメ)」説では、林下の湿った窪地に群生し、悪臭(毒気)が立ち込めるような場所を意味する言葉が転訛して「ドクダミ」となったとされています。

この独特な匂いの元は、精油成分であるデカノイルアセトアルデヒドやラウリルアルデヒドによるもので、これらは抗菌作用を持ち、特に糸状菌やぶどう状球菌に対する制菌力があるそうです。ただし、乾燥するとその効果は失われるともいわれています。どくだみの効能には、毛細血管を丈夫にする働きのほか、利尿、抗酸化、緩下(穏やかな下剤効果)、強心、血管収縮、動脈硬化の予防などがあり、古くから民間療法として重宝されてきました。

どくだみは地下茎を地中深くまで張り巡らせ、わずかな地下茎の一部が残るだけでも繁殖できるほど強靭な植物です。特に、コンクリートの隙間やブロック塀の間など、わずかな空間でも生育可能で、湿度が高く日当たりの悪い場所を好むため、都市の道路の隙間や建物の陰などでもよく見かけます。また、どくだみは「アレロパシー(他感作用)」と呼ばれる性質を持ち、ほかの植物の生育を抑制する物質を放出します。これにより、どくだみが生えている場所ではほかの雑草や野菜が育ちにくくなり、独占的に広がっていきます。一方で、どくだみの地下茎は地中深くから栄養分を吸い上げ、地表に還元する働きを持ちます。特に表層の栄養が不足した痩せた土地では、土壌全体の養分循環や微生物活動を促進する効果があり、どくだみの存在は生命活動の豊かさのサインとも言えるのではないでしょうか。私たちは、どくだみの姿を通して、その土地の土壌の状態を読み取ることができます。

このような見過ごされがちな生命力の強い雑草は、かつて戦国武将の家紋にも取り入れられました。どんな環境でも根を張るその強さに、願いや祈りが重ねられたのかもしれません。カタバミは片喰紋、オモダカは沢瀉紋、ナズナは薺紋、そしてフタバアオイは徳川家の葵紋の三つ葉葵のモデルになったとされています。どくだみは家紋にはなっていないようですが、風景が変われば雑草も変わるものです。今の都市の風景の一部として、さりげなく、たくましく根を張り続けています。

長年、作ってみたいと思っているものがあります。それは、どくだみの花のチンキです。花には有効成分が多く含まれており、リカーやウォッカに漬けて1カ月以上置くと、虫除けや虫刺され、切り傷や肌荒れに効き、薄めれば化粧水としても使えるそうです。生の花や葉に含まれる抗菌作用や虫刺されなどへの効果を生かすために、乾燥させず、生のままアルコールに漬けるのだそうです。皆さんのお近くにもどくだみはありませんか?

ショールームのご案内
https://www.shokunin.com/jp/showroom/

参考資料
https://ja.wikipedia.org/wiki/ドクダミ
https://ja.wikipedia.org/wiki/民間薬
https://www.543life.com/content/shun/post20200618.html
https://agri.mynavi.jp/2019_05_23_70712/
https://www.bousou-sheet.com/docs/course/dokudami/
https://yakuyomi.jp/knowledge_learning/chinese_medicine/01_095/
https://toyokeizai.net/articles/-/63869
https://weathernews.jp/s/topics/201906/120185/

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【大寺幸八郎商店「かなまり」―伝統と美を手のひらに】

富山県高岡市に伝わる金属工芸の技術を受け継ぎながら、現代の暮らしに寄り添う器として生まれた「かなまり」。熟練の職人さんが一枚の板を型に丁寧に打ち付けて作るこの器は、使うほどに味わいが深まっていきます。

「かなまり(金鋺)」という名前は、平安時代の随筆『枕草子』に登場する「あてなるもの(上品なもの)」の一節からお借りしたものです。古典文学に宿る美意識を現代の器に込めた発想が品のある佇まいに現れ、名前にもその美しさが感じられます。手仕事ならではの細かな凹凸や、金属の表情がそのまま器の個性になっており、同じ形でも一つ一つ違った風合いが楽しめる、まさに職人技が光る一点ものです。

錫の柔らかさを生かして、使う人が自分で縁を少し曲げて注ぎ口を作ったり、形を変えて盛り付けの印象を調整することもできます。まるで器と会話しているような感覚で、日々の食卓に新しい表情を添えてくれます。錫は熱伝導性が高いので、冷蔵庫で冷やしてから使うと、冷奴やそうめんなどの冷たい料理をより涼しげに楽しめます。銀白色の器は、食材の色を美しく引き立ててくれるので、緑の野菜や赤い果物など彩り豊かな料理がより映えて、シンプルな一皿もぐっと上品に仕上がります。錫は使い込むほどに色味が落ち着き、独特の風合いが出てきます。磨けば元の輝きに戻すこともできますが、あえてその変化を楽しむのも、長く使うからこそ味わえる魅力です。

我が家では、先日、六花亭で購入した限定スイーツが半分凍らせて食べるタイプのアイスケーキだったので、冷やしたかなまりにさっそくのせてみました。最後まで冷たいままおいしく、銀色の器にケーキの色が映えて、見た目からも涼しさが感じられました。サイズは小と中の2種類です。小サイズは薬味やデザートに、中サイズは麺類やサラダにぴったりです。器としてだけではなく、アクセサリートレイやインテリアとしても使える汎用性の高さも魅力で、多様な使い方ができます。

かなまりは手に取るたびに、職人の技と素材の美しさが感じられて、使う人の感性に寄り添いながら、静かに暮らしを彩ってくれる存在です。日常にすっとなじみ、ちょっとした贅沢を感じさせてくれます。伝統と新しさが程よく混ざり合ったこの器は、いつもの食事をちょっと特別な時間に変えてくれる、そんなアイテムだと思います。

大寺幸八郎商店 かなまり 中
https://www.shokunin.com/jp/otera/kanamari.html
セラミック・ジャパン アヒルマグ
https://www.shokunin.com/jp/ceramicjapan/ahiru.html
小樽ショールーム
https://www.shokunin.com/jp/showroom/otaru.html



最近はゲリラ豪雨の多かった北九州市ですが、今日は雲ひとつない快晴。目の覚めるような青空に、まっすぐに伸びる飛行機雲が見えました。

日本各地の職人たちによる手仕事の品々を展示している若松ショールームの窓からは、青く澄んだ空と洞海湾を一望できます。本日もどうぞお気軽にお立ち寄りください。

若松ショールーム
https://www.shokunin.com/jp/showroom/wakamatsu.html