2025年05月

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一見何の問題もありませんが、規定によりアウトレットになるものもございます。こちらはオンラインストアでは在庫切れになっている青龍窯の汲み出しです。ぜひお宝を探しに三条ショールームにお越しくださいませ。

ショールームのご案内
https://www.shokunin.com/jp/showroom/

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【猫とつぐらと、狭い場所】

実家で猫を飼っている家族から、先日、無惨に破れた障子の写真が届きました。どうやら、窓と障子の隙間に潜り込んでいた猫が、突然の来客に驚き、その勢いで障子を突き破ってしまったようです。窓と障子の隙間に始まり、布団と布団の間、段ボールの中、押し入れの隅っこ、仏壇の花瓶の裏側に至るまで、猫はとにかく狭くて薄暗い場所を見つけては入り込みたがる生き物です。「なんでわざわざそんな窮屈なところに…」と思ってしまいますが、これは外敵から身を守る必要があった野生時代の名残で、安心できる環境で体を休めたいという猫の本能的な欲求なのだそう。狭い穴や岩場に隠れて、ネズミや昆虫を捕獲したり、大型肉食獣から身を隠していたころの習性が、現代の猫にも引き継がれているというわけですね。

さて、世の中にはたくさんの猫グッズがありますが、そんな猫の習性を知ることで「なるほど」と納得できるものの一つが、昔ながらの知恵と自然素材の温もりが詰まった「猫つぐら」です。猫つぐらとは、稲藁を編んで作られたドーム型の猫用ハウスで、おもに長野県や新潟県などの農村地域で古くから作られてきました。もともとは保温のために飯櫃(めしびつ)を入れたり、農作業中に幼児を寝かせたりするための「つぐら」が原型とされており、それがしだいに猫用へと進化していったといわれています。小さな入り口、柔らかな藁の素材感、程よい狭さと薄暗さ。これらの特徴は、まさに猫にとって理想的な隠れ家ではないでしょうか。

わらむの猫つぐらは、大相撲の土俵にも使われる希少な「白毛餅藁」を素材に、職人の手仕事によって一つ一つ丁寧に編み上げられています。天井には「猫窓」と呼ばれる小さな開口部が設けられていて、通気性がよく、夏場でも風が抜けて快適。中に猫がいる様子も入口と猫窓からさりげなく見えるので、飼い主としてもほっと一安心できます。しっかりとした編み目の美しさと、天然素材ならではの柔らかさを併せ持つ猫つぐらは、猫にとっての心地よい居場所であると同時に、見る人の心もきっと穏やかにしてくれる存在です。

動物が幸福で快適に暮らすために、動物本来の習性や特性を理解して生活環境を整えることを「環境エンリッチメント」といいます。従来は、動物園や水族館で用いられてきた概念ですが、最近ではペットである犬や猫にも応用できると一般でも注目されるようになりました。本能に寄り添った暮らしは、猫のストレスを減らし、病気の予防や長寿にもつながるといわれています。「狭いところが好き」という猫の本能に向き合い、自然素材で丁寧に編まれた猫つぐらは、長い時間培われてきた人々の知恵と猫への優しい気遣いが結びついた、一つの文化の形そのものであるようにも感じられます。

わらむ 猫つぐら
https://www.shokunin.com/jp/waramu/nekotsugura.html
今出川ショールーム
https://www.shokunin.com/jp/showroom/imadegawa.html

参考資料
https://pet-lifestyle.com/blogs/view/723
https://kotobank.jp/word/%E3%81%A4%E3%81%90%E3%82%89-571405
https://cat.benesse.ne.jp/withcat/content/?id=151687