2025年01月

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【檸檬さんぽ】

実家の庭からレモンが届きました。澄んだ黄色のコロンとした姿に心が弾みます。

「いったい私はあの檸檬が好きだ。レモンエロウの絵具をチューブから搾り出して固めたようなあの単純な色も、それからあの丈の詰った紡錘形の格好も。」

レモン、といえば思い出すのが梶井基次郎の『檸檬』。この作品が発表されてから今年でちょうど100年になります。憂鬱な気分に苛まれる主人公が、ふと八百屋で見かけたレモンに心惹かれて買い求め、その後立ち寄った書店・丸善の本の上に、レモンを置いて立ち去るという物語。10ページにも満たない短編ながら今なお多くの人を魅了し、2005年に京都の丸善河原町店が閉店になった際にはレモンを本の上に置いて立ち去るファンが後を絶たなかったことも話題となりました。

ところで、第三高等学校(現・京都大学)で青春を過ごした梶井基次郎がよく訪れたという当時の丸善は、実は河原町ではなく三条麩屋町にありました。三条ショールームのあるSACRAビルから一筋東のご近所さん。1915年竣工のSACRAビルはその当時すでに存在していたので、この建物はきっとこの辺りを歩く基次郎の姿を見ていたはず、と、窓ごしに昔の往来を想像してみたりします。

この辺りが舞台とあって『檸檬』の主人公の足跡を辿り、三条ショールームまでの道のりを改めて寺町二条から歩いてみました。主人公が檸檬を買った果物屋「八百卯」は2009年に惜しまれつつ閉店し、今はビルの工事中でしたが、周辺には古道具屋さんや古本屋さん、雑貨屋さんなどがあり、古さと新しさが混ざり合っています。珍しいボタンがたくさん揃う昔ながらのボタン屋さんでは、思わずかわいいボタンを購入し、しばしお店の方と『檸檬』談義。文学ファンの方も、そうでない方も、京都にお越しの際はぜひ一度歩いてみていただきたい楽しい通りです。

学生時代に読んで強い印象を受けた『檸檬』ですが、そういえばほかの梶井基次郎作品を知らないことに気づきました。調べてみると、すべて合わせてもわずか20編ほどの短編、同じくらいの数の習作、いくつかの断片が残るのみ。それもそのはず、彼は肺結核により31歳の若さで亡くなっているのです。絶え間なく移ろう自らの心を捉えた基次郎の言葉の曇りなさは、死を強く意識しながら生きるゆえだったのでしょうか…。その死があまりにも早かったことが惜しまれますが、のちに小林秀雄や三島由紀夫らによって高く評価され、広く世に知られることとなりました。3月24日の命日は「檸檬忌」と呼ばれ、今も愛され続けています。

今夜は『梶井基次郎全集』を片手に、レモンティーを飲むことにしましょう。

大寺幸八郎商店 かなまり 中
https://www.shokunin.com/jp/otera/kanamari.html
セラミック・ジャパン モデラート ティーポット
https://www.shokunin.com/jp/ceramicjapan/moderato.html
三条ショールーム
https://www.shokunin.com/jp/showroom/sanjo.html

参考資料
『梶井基次郎全集 全一巻』(ちくま文庫、1986年)
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E6%A2%B6%E4%BA%95%E5%9F%BA%E6%AC%A1%E9%83%8E

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【食器棚で白銀比】

ショールームの展示を機に教えてもらった黄金比と白銀比という比率。自宅の食器棚でも活用できないかと試してみました。

まず「黄金比」とは、縦:横の比率がおよそ1:1.618(約5:8)のこと。自然界の多くに存在する調和の比で、安定して美しく見える比率であるといわれています。パルテノン神殿や凱旋門、ミロのヴィーナス、モナ・リザなど、古代から建物や彫刻、絵画などに頻繁に使われてきました。

一方、「白銀比」は、縦横の比率が1:1.414(約5:7)のことで、1911年、ドイツの物理学者オズワルドが提唱し、A判として紙の国際標準規格となりますが、日本では古くからある比率でした。607年に建てられた奈良県の世界最古の木造建築・法隆寺の金堂や五重塔に取り入れられており、「大和比」とも呼ばれ、日本人にとってなじみやすく美しいと感じる比率のようです。

さて、仮住まいの収納棚ですが、ショールームで学んだことを生かし、縦:横の比率ではなく、棚の幅を1.414、物を置く範囲を1と見立てて並べると、なんだか心地よくなりました。そして季節ごとのお気に入りを眺めていると、この料理道具や食器を使いたいからこの料理を作ろうというアイデアも湧いてきます。

祖父母や母から譲り受けたものと私が選んだもので、3世代を物語る食器棚の様子は、長く使えるものを選んできたからこそ受け継がれ、仲良く並んでいるような気もします。白銀比を活用して余白があることにより、ぱっと取り出しやすいのも良いところで、土鍋や木製品は特によく乾かしておきたいので、見える収納は風通しも良く一石二鳥。リビングや寝室と違い季節感の出にくいキッチンでは、寒い季節には土鍋やぽってりとした食器でぬくもりを、暖かい季節にはガラスや白い食器で軽やかにと使用頻度が高いものを並べてみると模様替えにもなるような気がします。

スタイリッシュにしたいときには黄金比、柔らかい印象にしたいときには白銀比と覚えておくと日常生活にも取り入れやすくなりそうです。

東屋 ジューサー
https://www.shokunin.com/jp/azmaya/juicer.html
セラミック・ジャパン アヒルマグ
https://www.shokunin.com/jp/ceramicjapan/ahiru.html
薗部産業 めいぼく椀
https://www.shokunin.com/jp/sonobe/wan.html
松山陶工場 行平鍋 5号
https://www.shokunin.com/jp/matsuyama/
本間数勇商店 わら鍋敷き 小
https://www.shokunin.com/jp/honma/nabeshiki.html

参考資料
https://www.miraikoji.com/column/6316/
https://tsunagaru-design.jp/archives/1371

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【小樽ショールーム スタッフ募集のお知らせ】

このたび職人.comでは、オープン以来多大なる貢献をしてくれたスタッフの卒業見込みに伴い、小樽ショールームのスタッフを募集させていただくことになりました。

当店職人.comは、2004年創業の職人.com株式会社が運営する唯一の事業で、SNSとメールマガジンを合わせて約85万人の方々にフォローされている9言語発信の日本製工芸品オンラインストアです。現在売上の約半分が海外向けとなっており、世界中にいらっしゃる常連客の皆様に支えていただいております。

小樽ショールームは、港湾都市・小樽の発展の礎となった「小樽運河」に面する協和浜ビルの4階にございます。協和浜ビルは、1933年(昭和8年)に、近現代の日本の発展に貢献した海運会社の一つである嶋谷汽船の分離会社、嶋谷商船の社屋として建設されました。その後、三井財閥系の三井船舶(現・商船三井)と合併し、小樽初のテナントビル「三井船舶ビル」として多くの海運会社の事務所が入居、3階には石原慎太郎氏・裕次郎氏のお父様が支店長を務める山下汽船もありました。鉄筋コンクリート造4階建ての建物は左右対称のデザインで、花崗岩で装飾された玄関周りや4階のアーチ窓に見られるように、昭和初期の装飾性に富んだ建築様式が印象的な小樽市指定歴史的建造物です。

ショールームスタッフの仕事としましては、販売業務はもちろんのこと、商品の入れ替えや本社との荷物のやり取り、免税対応、SNSなどの記事作成、翻訳(可能な方のみ)など。それぞれの得意分野を生かして働いていただきます。小樽ショールームは5店舗のショールームの中で最も大きなショールームとなるため、販売業務が中心になるかと思いますが、空き時間に記事作成や写真撮影を行い、職人.comのサイトを共に作り上げていただくことがもう一つの基幹業務になります。実は、サイトコンテンツの中心となる記事の多くはショールームスタッフによるものです。記事は半永久的にオフィシャルブログやSNSページに残り、当店スタッフにより多言語に翻訳されます。世の中に良い影響を直接的に与えることのできる非常にやり甲斐のある仕事です。

つきましては、ショールームに勤務可能なスタッフを募集させていただきます。ご希望の方は、履歴書と雰囲気が分かるお写真(応募用に証明写真をご準備いただく必要はございません)をメール添付にてお送りください。現在当店には幅広い年代のスタッフが約15名在籍しています。外国籍の方も大歓迎です。ご応募の際は、「自国の伝統技術や文化に価値があることを伝えていく」という理念を書いている「職人.comについて」「職人.comの社会活動」をあらかじめお読みいただければと存じます。皆様からのご応募を心よりお待ちしております。ご質問等もございましたらお気軽にご連絡くださいませ。

ご応募はこちらから
https://www.shokunin.com/jp/etc/boshuu.html
ショールームのご案内
https://www.shokunin.com/jp/showroom/