



【赤紫蘇ふりかけ】
赤紫蘇はジュースや梅干しやふりかけなど、梅雨から夏に、さっぱりとした爽やかにさせてくれる古くから栽培されてきた日本のハーブです。
赤紫蘇のふりかけといえば「ゆかり」。実はそのすてきな名前は、広島市に本社を構える三島食品の登録商標で、ゆかりの命名のいわれは古今和歌集収録の短歌からきています。
紫の ひともとゆゑに 武蔵野の 草はみながら あはれとぞ見る(詠み人しらず)
「紫草が一輪咲いているという縁(ゆかり)だけで武蔵野のすべての草花を愛おしく感じる」という意味から、紫色をゆかりあるものの象徴として命名されたのだそうです。
紫蘇の独特の香りは「ペリルアルデヒド」という香気成分によるもので、強い防腐・殺菌作用があり、食中毒防止に役立ちます。刺身に紫蘇が添えられているのは理にかなっていますね。そして、赤紫蘇の葉にはロスマリン酸とルテオリンが含まれ、抗酸化作用や抗炎症作用でアレルギー症状を抑制する効果が期待できるとされています。
さて、この赤紫蘇ふりかけ、中東料理のスパイスの「スマック」という香辛料に風味が似ているようです。赤を意味するというスマックはウルシ科の「ルス・コリアリア」の果実を乾燥させたものです。抗酸化作用が強く、ビタミンC、ポリフェノールやフラボノイド類が多く含まれるスーパーフード。赤紫蘇、レモン、梅干し、タマリンドに近いほのかな酸味と香りがあるのが特徴です。使い方はそのまま野菜や魚にまぶしたり、現地では胃腸の調子を整えるためお茶にして飲まれています。
パレスチナのチキン料理「ムサッハン」には、スマックは欠かせない香辛料ですが、赤紫蘇ふりかけで代用できるとのこと。ムサッハンは「タブーンブレッド」と呼ばれるピタパンやピザ生地、チャパティのようなパンの上に、スマック、セブンスパイス、塩を使用して玉ねぎを炒めたものと、ローストしたチキンの骨付きもも肉をのせた料理です。セブンスパイスは中東で使用されている調味料で、(地域差があるようですが)胡椒、ナツメグ、クミン、コリアンダー、クローブ、シナモン、オールスパイスを調合したものです。
調理方法はスライスした玉ねぎにスマックとセブンスパイスと塩とオリーブオイルをたっぷりかけてしっかりと炒めます。鶏肉にもこれらのスパイスをなじませてグリルします。仕上げには炒った松の実とコリアンダーを振りかけます。ここで使うスマックを赤紫蘇のふりかけで代用します。どんな味になるのか興味深いですね。ご興味がある方はぜひ作ってみてください。
また、赤紫蘇のふりかけも手作りのものを楽しむことができます。赤紫蘇のジュースや、梅干し用に仕込んだ赤紫蘇漬けから作ることができ、乾燥させてすり鉢で粉状にします。暑くなる季節、赤紫蘇を食事に取り入れてみてはいかがでしょうか?
山只華陶苑 JUJU mortierすり鉢
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東屋 擂粉木
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参考資料
https://ja.wikipedia.org/wiki/ゆかり_(ふりかけ)
https://ja.wikipedia.org/wiki/スマック_(植物)
https://ja.wikipedia.org/wiki/ムサッハン
https://ja.wikipedia.org/wiki/シソ
https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/265934/1/aaas_21_146.pdf