2024年06月

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【ササキパン】

京都駅から近鉄電車で約10分で行ける城下町、伏見桃山。酒どころとしても知られ、散策も楽しいこの地の納屋町商店街の一角に、大正10年(1921年)創業のパン屋さんがあります。

「ササキパン」は「金龍堂」の名で創業し、現在は四代目店主がこの約100年続くパン屋を守り続けています。京都の老舗パン店・進々堂の創業が大正2年(1913年)なので、ササキパンはまさにパン屋創生期のころに開業しました。当時は、あんパンを1個5銭で売っていたとか。

昭和30年に考案されたオリジナルのパッケージは、まさしく「ご当地パン」と聞いて思い浮かべるようなレトロなデザイン。京都にパン屋は数あれど、いわゆるご当地パン屋さんのようなお店はあまり見かけなかったので、かえって新鮮に映りました。商店街になじむ店構え、店内にも懐かしいフォントの看板やパンがずらりと並び、ご近所さんらしき方々が入れ替わり立ち替わり訪れています。

お花の形をした眩しいオレンジのトレーに、気になるパンをのせていきましょう。昭和で止まっているかのような価格設定ということもあり、ついついたくさん手にとってしまいます。「メロンパン」に「クリームパン」、「最高級食パン」も、気になって無視することはできませんでした。個包装なので、気楽にお昼やおやつに持って行ったり、誰かにあげたりしやすいのも、人々がつい立ち寄ってしまう所以かもしれません。

ササキパンを訪れたのを機に知ったのですが、伏見桃山は、豊臣秀吉が安土桃山時代に伏見城を築城して城下町を開いた歴史ある場所で、坂本龍馬が襲撃された寺田屋事件があったことから坂本龍馬ゆかりの地でもあります。また、良質な地下水に恵まれたことから、「黄桜」や「月桂冠」の本社など多くの酒蔵があることでも有名です。ササキパンのある納屋町商店街ともつながっている、伏見大手筋商店街や龍馬通り商店街にも、立ち飲み店やカフェなど多くのお店が並び、観光客も多すぎず地元の方でにぎわっていたのが印象的でした。

「伏見」と聞くと伏見稲荷大社という印象が強いかもしれませんが、歴史と水と酒の街、伏見桃山も見どころがあふれていたので、関西おでかけスポットの一つとして、ぜひ頭の片隅に置いておいてください。

ササキパン 本店
https://maps.app.goo.gl/XzAhhmdnrwP2JZ119

参考資料
https://nayamachi.or.jp/?p=29
https://souda-kyoto.jp/blog/00146.html
https://souda-kyoto.jp/blog/00757.html
https://www.gekkeikan.co.jp/enjoy/bunko/inari-momoyama/fushimimomoyama.htm

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【高麗美術館と朝鮮美術】

緑あふれる門。左右に立つ石の門番は、もともと朝鮮半島に古くから伝わるお墓の番人でした。この門を抜けると、異界に誘なわれるような不思議な気持ちになります。

京都市は北区にある高麗美術館に行ってきました。訪れるのは学生のころ以来。時の経つのはなんと早いことか。ここ、高麗美術館は日本で唯一の朝鮮半島の美術専門の美術館。高麗・朝鮮王朝時代の貴族邸宅の調度から庶民が使っていた道具まで、在日朝鮮人であった実業家・鄭詔文(チョン・ジョムン)氏が日本国内で生涯をかけて収集された1700点あまりの作品が収蔵されています。年に2回の展示替えがあり、今回は「風俗画と民具から見る朝鮮時代」というタイトルで、人々の生活を描いた屏風や、農具、市井(しせい)の人々が作った日用品などの展示を観ることができました。

朝鮮美術というと、あまりなじみのない方もいらっしゃるかと思うのですが、概して朝鮮美術には素朴でおおらかな雰囲気があります。たとえば器なども、どこか歪んでいたり、釉にムラがあったり。その「完全」ではない姿がたまらなく魅力的です。日本には古くから「わびさび」という言葉があり、そうした器の歪みやキズまでも「美」として愛でる意識が根付いていることはよく知られていますが、実はこの「わびさび」、茶の湯において当時高価だった中国の器の代わりに朝鮮半島から伝来した器を使うようになったことによって生まれた美意識だったといいます。つまり、極端な言い方をすれば、朝鮮半島で作られた小さな器の歪みが、日本人の精神にとてつもなく大きな影響を与えてしまったのでした。この豊かでユニークな影響関係のことはもっと語られてよいのではないかと思います。

また、まるで「ヘタウマ」の先駆けのような、ユーモラスな動植物や人物が描かれた朝鮮民画※などはたまりません。見ると思わず笑顔になってしまうのですが、描いた人はいったいどんな顔をして(大まじめに?それともいたずらっぽい顔で?)こんな絵を描いていたのだろうかと、そんなことが気になってしまいます。

付け加えるならば、あの柳宗悦を民藝運動に駆り立てる大きなきっかけとなった《染付秋草文面取壺》(日本民藝館蔵)もまた、李朝の作。ですから「民藝」という美の思想それ自体も、朝鮮美術とは切っても切れない関係なのです。

話が横道にそれてしまいましたが、百聞は一見にしかず。言葉だけではとても朝鮮美術の魅力をお伝えしきれないので、ぜひ高麗美術館に足を運んでみてください。

※民画:宮廷絵師のような専門的な絵画教育を受けていない、庶民の画工によって描かれた絵画。柳宗悦による造語。

高麗美術館
https://www.koryomuseum.or.jp/
ショールームのご案内
https://www.shokunin.com/jp/showroom/

参考資料
https://media.b-ownd.com/archives/article/wabi-sabi

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【表参道・同潤館】

初詣では日本一参拝者が訪れるという東京は渋谷区の神社、明治神宮。その神社へ向かう参道の一つが表参道です。表参道は、青山通りからJR原宿駅前にある神宮交差点までを通る並木道で、その周辺一帯の通称でもあります。ブランドメゾンやカフェ、アパレルショップに回転寿司、再開発に伴うファッションビルに至るまで、あらゆるジャンルのお店が立ち並び、国内外からの集客でにぎわう並木道です。地下には東京メトロが走り、表参道駅~明治神宮前(原宿)駅の区間にあたります。

そんな表参道に、「表参道ヒルズ」のある景色はもうおなじみですが、大人の記憶にはまだ新しい、2006年に完成した建物です。その風貌は、高層タワーの六本木ヒルズと真逆に、低層建築で商業施設と一体型の住居から成っており、歴史ある表参道の景観との調和と環境を第一に、安藤忠雄氏によって設計されました。

その前身となった建物は、「同潤会青山アパート」。関東大震災ののち、内務省による復興計画の一環として建設された同潤会アパートは、優れた集合住宅として貴重な建築でした。その建物は共同住宅の役目を終えると商業施設となって、2003年の解体まで70年以上の長きにわたりその魅力を発信し続けていたことになります。

しかし、いよいよ修復だけでは物理的にも経済的にも不可能となり、同潤会アパートは幕を閉じ、現在の表参道ヒルズへと姿を変えました。当時の記憶をつなぐ手がかりとして、建物の高さをケヤキ並木と同程度に低く抑えるなど、街との調和が考慮されました。そして同潤会アパート時代を知る人たちにも分かりやすく記憶をつないでくれた場所が、旧同潤会アパートの外観を受け継いだ「同潤館」です。現代建築の一角に昭和の香り漂う当時のアパートが再現され、ギャラリーが詰まった館となって今もそこに存在しています。

当店の銀座ショールームは、銀座1丁目の「奥野ビル」にございます。奥野ビル(旧銀座アパートメント)は、同潤会の建設部長であった川元良一氏が設計を手がけたことから、建築の勉強をされている方やお仕事に携わる方など、関心を寄せられる方々の建物探訪先としてもにぎわう、とても趣のある建物です。楽しみ方いろいろの銀座ショールームへもぜひお立ち寄りください。

銀座ショールーム
https://www.shokunin.com/jp/showroom/ginza.html

参考資料
https://www.omotesandohills.com/information/about/architect.html#:~:text=%E8%A1%A8%E5%8F%82%E9%81%93%E3%83%92%E3%83%AB%E3%82%BA%E3%81%AF%E3%80%81%E6%AD%B4%E5%8F%B2%E3%81%82%E3%82%8B,%E3%81%AB%E5%B1%8B%E4%B8%8A%E7%B7%91%E5%8C%96%E3%82%92%E5%AE%9F%E6%96%BD%E3%80%82
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%8C%E6%BD%A4%E4%BC%9A%E3%82%A2%E3%83%91%E3%83%BC%E3%83%88
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A1%A8%E5%8F%82%E9%81%93_(%E5%8E%9F%E5%AE%BF)