2024年06月

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【山口県の郷土料理・瓦そば】

山口県下関市の郷土料理の一つに瓦そばがあります。熱した瓦の上に茶そば・具・薬味をのせて、温かいめんつゆで食べる料理です。具は錦糸玉子と牛こま切れ肉が一般的で、その上に小ねぎ、海苔、スライスレモン、もみじおろしなどの薬味をのせることが多いです。

瓦そばの由来は、1877年に起きた日本最後の内戦である西南戦争の中、薩摩軍の兵士が野戦の合間に瓦を使って野草や肉などを焼いて食べたという逸話を参考に、山口県下関市にある温泉街・川棚温泉の旅館にて宿泊者向けにアレンジした料理を提供したのが始まりとされています。その後、山口県内各地でご当地グルメとして広まり、県内の家庭でも日常的に食されています。家庭では、瓦ではなくホットプレートやフライパンで茹でた茶そばを炒め、具材を盛り付けて食べるのが一般的です。川棚温泉にある瓦そばの老舗といえば、「たかせ」が有名です。たかせの茶そばは、京都の宇治抹茶と北海道のそば粉を練り合わせているそうです。実際にお店に伺って食べたことがありますが、料理が到着すると、まず熱した瓦の蒸気から茶の豊かな香りが立ち上がってきます。めんつゆにつけて口にすると、意外とあっさりとした味わいです。また、瓦の上で麺が徐々に焼けてパリパリになるため、食感も同時に楽しめる料理です。

ご自宅で瓦そばを楽しむのに、小笠原陸兆のおにぎり焼き器はいかがでしょうか?全面をしっかりと油ならしすることで、茶そばがくっつきにくくなり、まるで鉄板のようにお使いいただけます。今回は豚こま切れ肉を牛肉の代わりに使い、錦糸玉子、青ねぎ、スライスレモン、もみじおろしをトッピングして作ってみました。このように、おにぎりを焼く以外にも、思いもよらない使い方があるかもしれません。

各地域の歴史や産物を生かしながら、ある地域の風土に合った食べ物として昇華する郷土料理ですが、こうした文化の伝播は、伝統工芸の世界でも見られます。たとえば、漆器は江戸時代に各藩が漆器づくりを奨励したことから、模様が特徴的な青森の津軽塗や、岩手の秀衡塗、石川県の輪島塗、金箔や金粉の蒔絵が華やかな金沢漆器、飛騨高山の春慶塗など、今も地域ごとの伝統技法が受け継がれています。日本各地の郷土料理や伝統工芸に触れる際には、ぜひその背景にある地域独自の歴史や風土も感じ取ってみてください。

小笠原陸兆 おにぎり焼き器
https://www.shokunin.com/jp/rikucho/onigiri.html
小笠原陸兆 フライパン
https://www.shokunin.com/jp/rikucho/fryingpan.html
本間数勇商店 わら鍋敷き 中
https://www.shokunin.com/jp/honma/nabeshiki.html
青龍窯 蕎麦猪口
https://www.shokunin.com/jp/seiryu/soba.html
安比塗漆器工房 手塗箸
https://www.shokunin.com/jp/appi/hashi.html
吉向窯 そら豆の箸置き
https://www.shokunin.com/jp/kikkou/soramame.html

参考資料
https://www.kawarasoba.jp/kawarasoba.php
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%93%A6%E3%81%9D%E3%81%B0
https://www.sirogohan.com/recipe/kawara/ (参考レシピ)

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【心も包む】

先日、たんすの中で着物と一緒に眠っていた風呂敷を見つけました。着物一式の持ち運びには、いつもなら紙袋やバッグを用意するところですが、風呂敷を広げて丁寧にひとまとめにすることの心地よさを感じました。着替えや勉強道具など、運びたい物をそのままの形で崩さずに持ち運べ、大切に抱えて移動した先で結び目をほどいた瞬間、さて!と気持ちまで切り替わるような気がします。

包む。身近な習慣としては、お弁当箱を包むことではないでしょうか?子供のころから何気なく日々の中で繰り返していましたが、きゅっと結ばれたお弁当には、中身がこぼれないように、周りの物を汚さないようにというような実用的な面と、その日を無事に過ごせますようにという思いも込められている気がします。受け取る側は、中身が見えないお弁当の包みの結び目をほどく時に、そこに込められた気持ちも感じ取っていたように思います。

包む文化は食物の貯蔵や持ち運ぶためになど、古代から世界中で発展してきました。日本でも麻や藁、縄などを使って物を包むようになりますが、奈良時代に入ると、西洋や古代中国の技術が日本に伝わり、品質の高い絹織物が作られるようになりました。奈良時代の日本を知るうえで貴重な史料が所蔵されている正倉院には、「つつみ」と呼ばれていた布が現存し、日本最古の織物とされています。

その後、室町時代に風呂の際にこの「つつみ」が使われるようになり、風呂敷と呼ぶようになったといわれています。使い方としては、平安から室町時代の風呂は蒸し風呂であったため裸では入らず、湯かたびらやふんどしなどを着けて入り、その際に風呂の中で敷いたり、湯あがりにその上で体や足を拭っていたようです。江戸時代に銭湯ができると、庶民たちが手拭いや着替えなどを風呂敷に包み銭湯へ通うようになり、武家社会から一般社会へと広がりました。

現在でも、大切な物を布で包んで持参する場面といえば、「ふくさ」が思い浮かびますが、これも、贈り物を丁寧に扱い、行事の際に相手と喜びや悲しみを共にするという日本人の心の現れが映し出されています。包む動作の中で自分のためにも相手のためにも心を添えるという観点は、まさに日本の文化の一つのように感じます。

風呂敷に限らず、ハンカチや手拭いなども小さく折りたたんでおいて、必要なときにだけさっと広げ大切な物を気持ちと一緒に持ち運んでみてはいかがでしょうか?

木屋 小倉織りハンカチ 紺縞・太縞
https://www.shokunin.com/jp/kiya/kokuraori.html
丸川商店 あづま袋
https://www.shokunin.com/jp/marukawa/azuma.html

参考資料
https://www.eisai.co.jp/museum/curator/column/090904c.html
https://www.miyai-net.co.jp/furoshiki/history/
https://www.pack-kimura.net/useful/article052696/