2024年04月

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【ひと針に願いを込めて】

中央アジアに位置するウズベキスタンには「スザニ(suzani)」と呼ばれる美しい刺繍があります。「スザニ」という言葉はペルシア語で「針」を指す単語を語源とし、「刺繍、刺繍したもの」という意味です。ウズベキスタンの定番お土産品で、観光地に行くと土産物店の軒先にはカラフルな刺繍が施されたバッグやクッションカバー、壁掛けなどが所狭しと並んでいます。手作りならではの温かみのある繊細なデザインが本当にすてきで、「かわいい!」と何度口にしたか分からないほど、気付けばすっかりスザニに心を奪われていました。

中央アジア周辺の遊牧民の女性の間で受け継がれてきたスザニは、かつて花嫁が嫁入り道具として、ベッドカバーや大きな壁掛けなど、数枚~十数枚のスザニを持参していました。手間ひまがかかるため、娘が小さいころから母親や親戚の女性たちが縫いながら刺繍の方法を教え、最後は娘が自分で完成させていたそうです。娘の幸運や家族の健康、繁栄、豊穣の願いを込めて、ひと針ずつ丁寧に刺繍が施されました。布は木綿や絹がほとんどで、刺繍糸は絹が主流です。砂漠など過酷な環境を移動する遊牧民たちの間で受け継がれてきたため、古いものが残りにくく、現存する最も古いもので18~19世紀初頭のものですが、書物には15世紀初頭のスザニの前身と考えられる刺繍織物の記述が残っているそうです。刺繍の模様は偶像崇拝を禁止するイスラム教の教えにより人物や動物といったものはなく、太陽、月、星、花や果物といったモチーフが多く見られます。特に種子の多いザクロは子孫繁栄のモチーフだそうで、よく見かけました。

スザニは地方によって特色があり、また、各家によって代々受け継がれている模様もさまざまです。シルクロードの中継地として栄えた古都ブハラは有名なスザニの産地です。せっかくならもっとスザニを知りたいと思い、ブハラ郊外の町ギジュドゥバンにあるスザニの制作体験ができる工房を訪れました。ここで作られるスザニの刺繍糸はザクロや玉ねぎの皮など自然の素材で染めているそうで、ほかの地域のスザニの鮮やかな色合いとはまた違った柔らかく優しい風合いです。工房の女性が刺繍を教えてくれるのですが、見るのとするのでは大違い。もともと裁縫が得意な方ではないことも相まって、一緒に行った友人と顔を見合わせ苦笑いでした。スザニ制作の夢は破れたものの、ひと針ひと針の工程を教わりながら、スザニを完成させていく時間はとても温かく豊かなものでした。母が娘の幸せを願いながら、刺繍を教えた時間に触れたような貴重な体験でした。

日本の伝統的な刺繍である「刺し子」にも、五穀豊穣や魔除けなどの願いを込めたさまざまな文様があります。山の形の刺し子のお守りは宗教や思想を越え、祈る心を包んだお守りです。大切な方の幸せや健康を願う贈り物としてもおすすめです。ひと針に込められた願いや温かみを、ぜひお手にとって感じてみてください。

山の形 刺し子のお守り
https://www.shokunin.com/jp/yamanokatachi/sashiko.html
祈る心を包む・刺し子のお守り
https://jp.shokunin.com/archives/52006885.html

参考資料
https://www.shibuya-and.tokyo/fashion/knowledge/embroidery-7/
https://textile-journey.jp/column/1111/
https://www.kaze-travel.co.jp/blog/uzbekistan_kiji017.html
https://srptravel.com/blog-suzani/

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【辻和金網の手付き焼き網が再入荷いたしました】

目の細かい焼き網受けが、ガスの直火を和らげて熱をまんべんなく広げます。パンを焼くと、外はカリッと、中はふんわりもっちりと仕上がります。また、パンだけでなく、野菜やお餅、干物などにも最適です。休日の朝にじっくりとパンを焼いてみてはいかがでしょうか?

辻和金網 手付き焼き網
https://www.shokunin.com/jp/tsujiwa/tetsuki.html

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【ヴォーリズ建築】

日本各地に西洋建築を残したことで知られる建築家のウィリアム・メレル・ヴォーリズ。京都に住み始めてから、「これもヴォーリズ建築だったのか」と知ることが多く、日々驚かされています。

ヴォーリズは、1880年にアメリカのカンザス州で生まれ、大学卒業後、キリスト教の精神に基づいて青少年の生活指導などを行う公共団体である「YMCA」に勤務し、その紹介で1905年、24歳の時に英語教師として滋賀県近江八幡市にやってきました。英語教師になったヴォーリズは、放課後に聖書を使って英語を教えるバイブルクラスを開講しましたが、多くの生徒に慕われる一方で仏教徒の多い地域の反感を買い、教師を解任されてしまいます。その後、近江八幡YMCA会館(現・アンドリュース記念館)を建設し、その実績が評価され、京都YMCA会館の建築工事を監督する仕事を得ました。もともと建築家になることはキリスト教の宣教を志すまでの彼の夢であったこともあり、これを機にヴォーリズは建築現場内に事務所を設立し、建築家の道を歩むこととなりました。

ゆかりのあった京都と滋賀の近江八幡には、特に多くのヴォーリズ建築が残されています。まず、京都に行ったことのある方なら誰もが一度は目にしたことがあるであろうヴォーリズ建築が、四条通のシンボルとも言える「東華菜館」ですね。ヴォーリズによる商業施設の建築は少なく、東華菜館はヴォーリズ建築唯一のレストランです。左京区にある「駒井家住宅」も、あとから知ったヴォーリズ建築。つい先日も、京都の街を歩いていたら、街になじみながらもただならぬオーラを放っている建築を目にし調べたところ、知る人ぞ知る、京都市内最古のヴォーリズ建築とのことでした。「京都大学YMCA地塩寮」という建物です。極めつけは、「大丸京都店」。三条ショールームへの出勤前、ふと大丸の出入り口の一角に飾灯具が展示されているのを見つけ足を止めると、そこには「ヴォーリズ飾灯具」の文字が。大丸心斎橋店に続きヴォーリズが京都店の設計も手がけた、とありました。大丸のデザインで印象的な八つの角を持つ星型多角形「八芒星(はちぼうせい)」は、各地のヴォーリズ建築に用いられ、ヴォーリズ建築の意匠を象徴するモチーフでもあります。

昨年、初めて旅行で訪れた近江八幡には、ヴォーリズが活動の拠点としていたこともあり、初期のヴォーリズ建築が多く残っていましたが、京都の街にもこんなに多くのヴォーリズ建築が溶け込んでいたのですね。ヴォーリズ建築は、周囲と調和する簡潔で優美なデザインもさることながら、日本の気候風土や住習慣に適合させる工夫がなされ、実用性に重きを置いているのも特徴。街歩きの際、頭の片隅にこの話を置いておくと、あなたもどこかの街で思いがけずヴォーリズ建築に出会えるかもしれません。

東華菜館 本店
https://maps.app.goo.gl/CjqWRj95KkesA4tw8
駒井家住宅
https://maps.app.goo.gl/CDCP7dkZ39bS5w2m8
地塩寮
https://maps.app.goo.gl/nhoFSK7S2YqwQAvx7
大丸 京都店
https://maps.app.goo.gl/rhMLS9XYBhC6Wjec6
ヴォーリズ記念館
https://maps.app.goo.gl/tmVZ5n1zTtfMSL6R6
三条ショールーム
https://www.shokunin.com/jp/showroom/sanjo.html

参考資料
https://www.omi8.com/omihachiman/local-history/vories/buildings/
https://www.okeihan.net/navi/kyoto_tsu/tsu202005.php
https://www.daimaru.co.jp/kyoto/art_at_daimaru/find.html
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/c9a2590e777c26f841e27e021d5237e595dc7020
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%B0%E5%A1%A9%E5%AF%AE