2023年10月

S__130924548

S__130924549

S__130924550

S__130924551

S__130924552

【山の上ホテル】

老朽化に伴い2024年2月から休館のニュースが舞い込んできた「山の上ホテル」。数年前に友人とプリンアラモードを食べに行った記憶が蘇りました。

東京都千代田区神田駿河台、御茶ノ水駅から徒歩5分の場所にある山の上ホテルは、1954(昭和29)年に開業しました。アール・デコ様式の建物は、アメリカ出身の建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズ氏の設計によるもの。もともと、昭和12年にこの洋館が建てられた当初は、財団法人が西洋の生活様式やマナーなどを啓発する施設として使われていました。その後、戦時中は海軍が徴用し、戦後はGHQに接収され、アメリカの陸軍婦人部隊の宿舎として使われました。そして、昭和29年1月に山の上ホテル創業者である吉田俊男氏が同財団から建物を譲り受け、ホテルとしての営業を開始したということです。

山の上ホテルは、出版社や古書店が集まる神田や神保町に近い立地、そして東京にありながら静かで、まるで書斎のように、あるいは別荘のように過ごせる居心地の良さから、川端康成や三島由紀夫、池波正太郎など数々の作家や文化人が定宿として利用したことでも知られています。作家の方々は時にはいわゆる「カンヅメ」で執筆活動をしたり、メールもFAXもない時代には、締切前はロビーに原稿を待つ出版社の方々であふれ返っていたといいます。客室数はわずか35室で、一つとして同じレイアウトの部屋はありません。ホテルオリジナルの桜の木肌を生かした家具にシャンデリア、畳敷きにベッドの部屋など、和と洋が調和したぬくもりのあるインテリアが印象的です。そして、こじんまりとしたホテルながら、天ぷらに中華、フレンチなど個性的かつ本格的な7つのレストラン&バーを備えています。

残念ながらこれまでに泊まったことはないのですが、山の上ホテル内にある「コーヒーパーラーヒルトップ」に友人と行った思い出があります。このパーラーは地下1階にありながら、ホテルが丘の上にあるため大きな窓があり、やさしい光が店内に差し込むのです。店内は満席で少し待つことになったのですが、その間「ロビーに座ってお待ちください」とおっしゃっていただいたんです。黄緑色のカーペットにゆったりと革張りのソファーが並んだクラシカルなロビー。そのロビーの窓際の席に腰掛けおしゃべりを楽しむ時間は、これまでの人生で経験した「順番待ちの時間」の中で最も贅沢で穏やかで心地いい時間だったと思います。

案内されて席に着き、テーブルに敷かれたレースに目をやると、小さな小さな「HILLTOP HOTEL」の文字がぐるっと一周あしらわれているではないですか。見つけた時は友人と目を見合わせ、そのある種の狂気を感じる、細部に至るまでのこだわりに、改めて山の上ホテルは裏切らないなと思わされました。頼んだのは、復刻メニューである「山の上ホテルのプリンアラモード」。プリン、バニラアイス、季節のフルーツにスワンシューが美しく盛り付けられたそれは芸術品のようで、あの日の光景は味も空間も人もすべて含めて、木漏れ日のようなあたたかい記憶として残っています。

長く多くの方に愛されてきたホテルですから、もう休業までに宿泊の予約を取ることは難しいかもしれません。私もニュースを見たあと思わず空きはないか検索しましたが、希望の日程は埋まっており、もう叶うことはなさそうです。しかし、コーヒーパーラーヒルトップをはじめ、泊まりには行けずとも「食べに行く」という選択肢もあるということをお伝えできたらと思います。ロビーのショップやカフェ、レストランを利用するだけでも、旅に出たようなそこにしかない空気感、建築を味わえるあの場所で、育まれてきた歴史に思いを馳せながら、あと約3カ月の間に今の状態の山の上ホテルを目に焼き付けられたら、と思います。

山の上ホテル
https://www.yamanoue-hotel.co.jp/
コーヒーパーラーヒルトップ
https://www.yamanoue-hotel.co.jp/restaurant/hilltop/

参考資料
https://www.yamanoue-hotel.co.jp/
https://www.nhk.or.jp/shutoken/newsup/20231024a.html
https://casabrutus.com/categories/architecture/176527

1

2

3

4

【抹茶】

海外でもその健康効果の高さから注目され、ブームから定番になりつつある「抹茶」。ニューヨークをはじめハワイなどの観光地でも抹茶専門のカフェやスタンドがあり、フランスのパリにおいては、かなり本格的な茶道体験ができる美術館なども存在しています。粉末である抹茶には、抗酸化物質のポリフェノールの一種であるカテキンが豊富に含まれ、細胞のダメージを減らすことで慢性疾患の予防に役立つといわれています。また、抹茶に含まれるビタミンKやルテインが、注意力や記憶力といった認知機能の向上に関連するという研究結果や、感染症対策にも活躍する可能性があることも判明するなど、さまざまな効果が期待されています。

ここ10日ほどの話ではありますが、最近少し早起きし、抹茶を一服してから朝の仕度をするようになりました。鉄瓶でお湯を沸かし、抹茶碗を温め、茶せんで抹茶を点てて飲む。ただこれだけですが、深い緑色をした抹茶の色や香り、細やかに泡立った表面、両手で触れる抹茶碗の手触り、茶せんで抹茶を点てる音、どれもが心地よく五感を刺激し、さっきまで眠っていた感覚がゆっくりと花開くように目覚めていくのを感じます。一連の流れの中を通じて、「リラックスと集中」という、自分にとって最も好きな2つの感覚を同時に味わうことができるのが何よりも心地よいのだと気が付きました。

抹茶の楽しみ方にはいろいろなスタイルがあると思いますが、たとえば活動的な昼にはカフェにあるような「抹茶ラテ」をご自宅で作ってみるのはいかがでしょうか?廣田硝子の柳宗理ワイングラスLに、コンデンスミルクやガムシロップを溶かした牛乳と氷を入れ、小泉硝子製作所の平底蒸発皿120mmで点てた抹茶を静かに注ぎます。飲むときはマドラーで軽く混ぜてからお楽しみください。

当店の今出川ショールームと三条ショールームがある京都には、抹茶を取り扱う老舗が多くあります。なかでも寺町二条にある1717年創業の一保堂では、手軽に飲める個包装のスティック抹茶から本格的な抹茶まで、豊富な品揃えから選んで購入することができます。一保堂は三条ショールームから徒歩約12分。旅先で購入した抹茶は、旅の思い出を蘇らせてくれる特別な味がすることでしょう。お好みの抹茶、そしてお好みのスタイルで、自分にあった楽しみ方を探してみてはいかがでしょうか?

抹茶ラテ

[材料]
抹茶 ティースプーン1杯(約2~3g) ※抹茶の濃さはお好みで調整する
牛乳 150ml
お湯 50ml
コンデンスミルクまたはガムシロップ お好みで
氷 適量

[作り方]
1. 牛乳をグラスに入れ、お好みの量のコンデンスミルクかガムシロップを溶かし、氷を入れる。
2. 湯冷ましで70~80度くらいに冷ました50mlのお湯に、ティースプーン1杯(約2~3g)の抹茶を入れ、茶せんを使って点てる。または、シェイカーや水筒に抹茶とお湯を入れて振り、抹茶を適度に泡立てる。
3. 2をゆっくりと1のグラスに注ぐ。

廣田硝子 柳宗理ワイングラス L
https://www.shokunin.com/jp/hirota/wine.html
小泉硝子製作所 平底蒸発皿 120mm
https://www.shokunin.com/jp/koizumi/johatsu.html
FUTAGAMI 食卓で使える道具としてのカトラリー マドラースプーン
https://www.shokunin.com/jp/futagami/cutleryd.html
長文堂 鉄瓶
https://www.shokunin.com/jp/chobundo/
東屋 湯冷まし
https://www.shokunin.com/jp/azmaya/kyusu.html
一保堂茶舗
https://www.ippodo-tea.co.jp/
三条ショールーム
https://www.shokunin.com/jp/showroom/sanjo.html

参考資料
https://www.womenshealthmag.com/jp/food/a43870870/matcha-powder-benefits-230519-hns/
https://kumikomatcha.fr/blogs/univers-du-the/the-matcha-paris
https://www.kurashiru.com/recipe_cards/550cf6d0-65de-4ead-aeba-0fdecd384af2 (参考レシピ)
https://www.ohhowcivilized.com/iced-matcha-green-tea-latte/ (参考レシピ)

1

2

3

4

押し寿司型をご購入くださったお客様より、山口県岩国市の名物「岩国寿司」の写真を頂きました。錦糸玉子やしいたけ、れんこん、桜でんぶの色合いがとても華やかです。

押し寿司型は、原材料費の高騰に伴い、2023/11/1より2,860円(税込)に値上がりいたします。ご検討中の方はぜひそれまでにご注文くださいませ。

山一 押し寿司型
https://www.shokunin.com/jp/yamaichi/oshi.html