2023年04月

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【価格改定のご連絡】

原材料費の高騰に伴い、いくつかの商品が2023/5/1に値上がりいたします。ご検討中の方はぜひそれまでにご注文くださいませ。

播州刃物 シェフキッチン鋏
https://www.shokunin.com/jp/banshu/kitchen.html
播州刃物 握り鋏
https://www.shokunin.com/jp/banshu/nigiri.html
台屋 鰹節削り器
https://www.shokunin.com/jp/daiya/
大西製作所 万年筆・ボールペン
https://www.shokunin.com/jp/onishi/pen.html

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【おみくじ】

一年の初めや物事を始めるときなどに、誰しもおみくじを引いたことがあると思います。おみくじは、日本独自に進化した文化で、日本各地のお寺や神社で個人の運勢や吉凶を占うために用いられます。神社では和歌、寺院では漢詩など紙に書かれた言葉を受け取り、生活の指針にするような習慣があります。

古代において、国の政治に関する重要な事項や後継者を選ぶ際に、神の意志を占うためにくじ引きをすることがあり、これが「みくじ」の起源とされています。

多くの神社仏閣で見られる現在のおみくじは、天台宗総本山である比叡山延暦寺で始まりました。延暦寺中興の祖として知られ、元三大師や慈恵大師の通称を持つ良源は、南北朝時代から室町時代の初頭ごろ、中国から入ってきた「天竺霊籤(てんじくれいせん)」という古いくじを基に、日本のおみくじの元祖「元三大師百籖(がんざんだいしひゃくせん)」を作り上げます。観音菩薩より授かったとされる五言四句の偈文100枚のうち1枚を引かせ、偈文から進むべき道を訓(おし)えたのが原型とされています。

江戸時代に、この元三大師百籖が大流行し、日本各地に広がりました。明治時代に移り、新政府が慶応4年(1868)3月13日に「神仏分離令」を出し、神社としては、仏教を起源としたおみくじを使用できず、神社独自のおみくじの開発が進みました。そこから、神社では和歌、寺院では漢詩がおみくじに載せられることが多くなりました。

現在では、遊戯性のあるおみくじや、置物になるような人形のおみくじなども多く見られるようになっています。陶製や木彫りのおみくじなども見かけます。木彫りのおみくじで特に有名なのは、京都府の上賀茂神社のお馬みくじ、奈良県の春日大社の鹿みくじではないでしょうか。

北九州市門司区の和布刈神社には、木彫りのふくみくじがあります。和布刈神社は、九州の最北端にあり、社殿前の関門海峡は河豚が名産品で、この地域では河豚のことを「ふく」と呼び縁起を担いでいます。職人の手で一つ一つ丁寧に彫られた姿は温かみがあります。おみくじも付いた授かり物で、とても縁起が良い気もしませんか?
 
和布刈神社
https://www.mekarijinja.com/
若松ショールーム
https://www.shokunin.com/jp/showroom/wakamatsu.html

参考資料
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8A%E3%81%BF%E3%81%8F%E3%81%98
https://www.jinjahoncho.or.jp/omairi/osahou/omikuji
https://thegate12.com/jp/article/421

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【ワクワクしなくちゃ】

2022年の10月で100歳を迎えられた柚木沙弥郎氏。「楽しくなくちゃつまらない」をモットーに、現在も生き生きと制作を続けていらっしゃいます。

柚木氏は1922年に東京の田端に生まれ、柳宗悦氏の“民藝”と、芹沢銈介氏の型染めカレンダーに出会い、芹沢氏に弟子入りして染色の道を志しました。1972年からは、型染めによる染布、染絵を制作しながら、女子美術大学で教鞭を執られ、そのほかにも絵本や版画、立体作品にも取り組みました。近年ではインテリアショップのIDÉEや京都のACE HOTELとのコラボレーションなど、その活動は今でも国内外に多くのファンを持つ現役アーティストなのです。つい数年前の2019年秋にも、パリへと旅立ち個展を開かれ、97歳の誕生日をお祝いしたというエピソードもあります。突然「パリに行くよ」とご家族の元へ連絡が来た時は「そんな馬鹿な……」と皆さん驚かれたそうです。

そんな柚木氏ですが、とりわけフランス・パリには恋焦がれ惹きつけられていたようです。それは明治の終わり、洋画家を志しパリへ画学留学をした父上から、フランスという国がどれほどに文化や芸術を大切にする国であるかということを繰り返し聞かされ、潜在的にパリに憧れを抱きながら育ったことから始まっています。初めてのパリは1967年、45歳の時でした。2カ月にわたる欧州の旅の中でパリに立ち寄り、国際展に作品を発表しています。その後も2008年からは3年連続で染布の個展を開催し、2014年にはルーブル美術館の東洋部門の役割を果たす「国立ギメ東洋美術館」にて大規模なテキスタイル展を開催しました。永久にパリの地に70点余りの作品が収蔵される記念の展覧会でした。まるで恋が実ったような、そんな素敵な時間だったに違いありませんね。

作品はもちろんですが、柚木氏が話される言葉の一つ一つは、いつも分かりやすく心にすっと入ってきます。いろいろな経験の積み重ねからなのでしょう。ご自身はなんと80歳を過ぎたころから物心がついたとおっしゃっています。物心とは自分がどんなものが好きで、どういう時点に立っているかという意識。それまでは自分が何が好きか考える暇もなかったそうです。忙しい毎日を繰り返す現代、世界中の人が身動きの取れなかったこの数年は、まるで神様が、こんな時代だからこそ一度立ち止まり、そんなことを考える時間を与えてくれたのかなと、ふと考えてしまいました。そして大切なのは「ワクワクすること」です。特別贅沢なことではなく、生活の中のさまざまな“モノ”や“コト”に集中して、他人から与えられるのではなく、自分が楽しさを見つけることだそうです。まさに“民藝”の想いと繋がっていることを再確認しました。

柚木氏の作品は、いつ見ても暖かく、その時代や年齢に伴ってどんどん洗練されている気がします。実際に作品をご覧になる機会があれば、ぜひ足を運んでみてください。いつもほっこりと、笑顔で包んでくれる作品ばかりで、ワクワクするような命のリズムが感じられます。現在、東京・渋谷のギャラリーTOMでは「こんにちはサイカチくん」。海外ドイツ・ベルリンのMUJIでは、個展「こんにちは世界!こんにちは未来!」が開催されています。職人.comでも柚木氏が制作された型染めを元に、そのままのサイズでシルクスクリーン印刷を施したナオロンを使用し、SIWA・紙和の10周年を記念して作られたバッグやブックカバー類、ペンケースなどを取り扱っております。数量限定になりますのでお早めに。銀座ショールームにもフラットバッグS柄01と文庫カバー柄05が展示されておりますのでぜひお立ち寄りください。こちらは90歳を超えた奥野ビルにてお待ちしております。

SIWA・紙和 シルクスクリーン
https://www.shokunin.com/jp/siwa/yunoki.html
銀座ショールーム
https://www.shokunin.com/jp/showroom/ginza.html

参考資料
https://www.samiro.net/index1.html
https://www.samiro.net/notebook/2014.html
https://www.tokyo-np.co.jp/article/118304
https://www.gallerytom.co.jp/exhibition.html
https://www.idee-lifeinart.com