2023年01月

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【やさしい気持ち】

東京メトロをお使いの方なら、一度は目にしたことがあるのではないでしょうか?昨年の4月から毎月シリーズ展開している、東京メトロのマナーポスターです。余分な配色はなく、基本的には赤、黄、緑、青で描かれていて、どうしてもグレートーンになってしまう地味な地下鉄の構内をパッと明るくしてくれています。毎月新たなポスターに変わるのを楽しみにしている愛好家の方も少なくないのでは?

この微笑ましい、ちょっとコミカルで知的な遊び心を感じるイラストは、パリ生まれのポール・コックスさんによるものです。英語教師を経て、独学で創作に専念。フランスを中心に世界で活躍されており、絵本や絵画、グラフィックデザインをはじめ、舞台美術やコスチュームデザインなど、多くの分野の作品を手がけています。日本でもルミネクリスマスインスタレーションや、北陸新幹線開業の広告、絵本やコラボグッズなどを通して幅広いファンを得ています。

ポスターの内容も、老若男女、海外からのお客様など、誰もが理解しやすく分かりやすい表現を使い、お互いを思いやる「やさしい気持ち」を持ちながら、実践してほしいという願いがコンセプトで作成されています。私が気に入ったのは6月の「かさのもちかた」です。その他にも「にもつにきくばり」「まえをみよう」「きちんとすわろう」というようなシンプルな文言に改めて気付かされることがある気がします。

コロナ禍ということで、どの月も描かれている乗客はマスクをしているところも日本ならではでした。バックナンバーも閲覧できるようになっていますので、ぜひ絵から伝わる「やさしい気持ち」を感じてみてください。銀座ショールームにお越しの際にもどこかで遭遇できると思います。残すところあと二月分となりましたが、また次回作が楽しみです。

銀座ショールーム
https://www.shokunin.com/jp/showroom/ginza.html

参考資料
https://bureaukida.com/paul-cox/
https://www.metrocf.or.jp/event/2022/manner_poster_20220401-01.html

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【北前船】

江戸時代から明治時代にかけて、大阪と北海道を結びさまざまな物資を運んだのが、北前船と呼ばれる船でした。当時は、江戸から津軽海峡を経由して東北地方へ向かう東廻り航路と、東北地方から下関・大阪を経由して江戸に向かう西廻り航路があり、北前船は西廻り航路にあたります。

その大きな特徴は、単に商品を預かって輸送するのではなく、船主自身が寄港地で商品を売り買いし、安いところで買いつけたものを高いところで売りさばいて利益を上げる点にありました。約1年をかけて大阪と北海道を往復し、うまくいけば1艘1往復で、6000万円から1億円にあたる千両もの利益を得ることができたといわれています。身分制度のあった江戸時代で、庶民が成功を掴むことができる、夢のある商売だったのです。

運ばれたものは多岐にわたりますが、北海道へ向かう下り荷では、米、酒、砂糖、塩、藁、綿などが運ばれ、大阪へ向かう上り荷では、ニシンや昆布などの海産物がほとんどを占めました。届けられた昆布は出汁文化を生み、西日本では昆布出汁が庶民の味として浸透していきました。

明治時代に入り最盛期を向かえますが、明治20年代ごろになると、蒸気船が普及したり、電信の発達で各地に商品価格差がなくなったりしたことで衰退が始まりました。北前船主は北海道商業への特化や、銀行業、資本家などへと経営を転換していき、その歴史に幕を閉じました。小樽を代表する倉庫群は北前船主によるものも多く、当時の面影を今も感じることができます。

※福井県旧河野村を本拠地とした右近家は、軸足を海運業から保険業に移し、1896年に日本海上保険(現・損害保険ジャパン)を設立しました。4枚目の写真は旧右近倉庫。

小樽ショールーム
https://www.shokunin.com/jp/showroom/otaru.html
旧右近倉庫
https://goo.gl/maps/y2MEtt1zHnKNfvJ69

参考資料
https://www.kitamae-bune.com/about/main/
https://www.kaijipr.or.jp/mamejiten/fune/fune_3.html
https://www.city.otaru.lg.jp/docs/2020100900848/
https://www.sompo-japan.co.jp/~/media/SJNK/files/news/2016/20161017_1.pdf

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【京都の老舗ベーカリー、進々堂でモーニング】

全国屈指のパン消費地である京都府において、パン製造販売業の先駆者として知られる老舗ベーカリー、進々堂をご紹介します。

進々堂は、大正2年(1913年)京都に創業したベーカリーショップ。フランス語やフランス文学にも造詣の深かった創業者・続木斉(つづきひとし)は、本場のフランスパンに憧れ、日本人として初めてパリへパン留学したことでも知られています。パリから帰ったのち、ドイツの窯を輸入してフランスパン製造販売を開始、西欧文化の香りを求める当時の京都の人々から絶大な支持を得て、京都を代表するベーカリーショップとしての基盤を築きました。

進々堂は現在京都に11店舗あり、パンを中心とした豊富なメニューを楽しめるレストラン形式の「ベーカリーレストラン」、レジで注文して自分で席まで持っていくセルフ方式の「ベーカリーカフェ」、そしてパンの販売を中心としている「ベーカリーショップ」の3つに分かれます。職人.com三条ショールームから徒歩5分の場所にあり鴨川からも程近い進々堂三条河原町店は、パンを中心としたモーニングからランチ、ディナー(三条河原町店のみ)まで楽しめるベーカリーレストラン。いつも観光客や地元の方々で賑わっています。

特におすすめしたいのは午前7時半から午前11時までのモーニング。メニューが豊富で、オニオングラタンスープやクラムチャウダーなどから選べるスープセットにも目が行きますが、とろとろのスクランブルエッグにサラダ、ロング粗挽きソーセージが盛られている「スペシャルブレックファースト」は彩り豊かでボリュームも満点、食べると朝から幸せな気持ちになります。

スペシャルブレックファーストは1200円で、ブレッドサービス(パンのおかわり自由)とドリンクも付いており、店員さんがたくさんの種類のパンをかごに入れて持ってきてくれ、その中からパンを選ぶのもまた楽しい時間です。ドリンクはホットコーヒーだとおかわり自由。このサービスの理由は、「店は単にパンが買える場所ではなく、おしゃべりに花を咲かせたり、仕事や勉強のアイデアを練ったり・・・。お客様にゆったりとした時間をお過ごしいただくサロンのような空間でありたいと願っているから」だそうです。

京都に来られた際は、朝から進々堂のモーニングでお腹と心を満たして、お買い物や散策を楽しんでみてはいかがでしょうか。そして午後は三条ショールームにてお待ちしております。

進々堂 三条河原町店
https://www.shinshindo.jp/branches/sanjo.html
三条ショールーム
https://www.shokunin.com/jp/showroom/sanjo.html

参考資料
https://www.shinshindo.jp
https://ja.wikipedia.org/wiki/進々堂