2022年04月

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【銀座の小さな覗き穴】

松屋銀座の地下入口の横に、その覗き穴はあります。あまり覗いている人はいません。なぜなら、華やかな地上の喧騒とは対照的に、何とも近付きがたいオーラを発している一角なのです。その覗き穴を覗くための2ステップの階段に足をのせるのも、なぜか少し勇気が要ります。なぜなのでしょう?でもぜひ覗いてみてください。「銀座共同溝」と書かれたその覗き穴の先では、銀座の縁の下の力持ち、先人たちの偉業に出会うことができます。

そこには、舗道下50cmからさらに下、高さ2.4m、幅2.8mの地下共同溝が広がっています。地下共同溝は、昭和43年に建設省によって銀座1丁目から8丁目までの両側歩道の下に施工されました。銀座のデパートや店舗に必要なガス、上下水道はもちろん、警視庁の信号ケーブル、電力、電話線ケーブルも並んでいます。この共同溝によって、たびたび道路を掘り返すことなく維持管理ができ、美しく舗装された銀座の街を悠々自適に歩くことができるのです。

世界で初めての共同溝が完成したのは、フランスのパリ。コレラが大流行した際に、その対策としてすべての公道の下にライフラインを収める計画がスタート、パリの発展を支えてきました。日本では、関東大震災後の1925年、帝都復興事業の一環として、九段坂、八重洲通り、浜松金座通りの3箇所で整備されたのが初めてだそうです。銀座の近くでは、地下鉄銀座線の日本橋駅B1出口付近にもこの見学窓があり、中を見ることができます。

このような地下の風景は、テレビなどでも見られて特に珍しいわけではないのですが、わざわざデパートの入口に展示されているのも、ちょっと面白い光景です。実際に都市の仕組みをいつでも見れることや、歩道の下がどうなっているのか、子供たちが暮らしの背景を知るためのとても良い展示だと思います。

この覗き窓を知ってから、「あ~、今日も誰も覗いてないな~」と、心の中で呟きながら通り過ぎています。

銀座ショールーム(金土日月の12-18時に営業)
https://www.shokunin.com/jp/showroom/ginza.html

参考資料
http://tkyw.jp/archives/1781667.html
https://www.ktr.mlit.go.jp/toukoku/toukoku00035.html

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【ニッコーの柳宗理ボーンチャイナ】

ボーンチャイナは18世紀頃にロンドンで発明された、乳白色で肌触りの滑らかさが特徴の、磁器の一つです。当時のイギリスでは入手が難しかった中国磁器で使われる白色粘土の代用として、牛の骨灰を粘土に混ぜて製作したことからボーン(骨)チャイナ(磁器)という名前が付きました。ウェッジウッドやノリタケなども、ボーンチャイナに入ります。一般的な磁器に比べると強度があるので、薄く作ることができて透光性を持たせることができます。

柳宗理は、1948年頃に白い陶器の「松村硬質陶器シリーズ」を作ります。今では広く浸透している、模様のない白い陶器や磁器は、当時の人々にとってあまりに斬新すぎたためか、不評だったようです。N型ポットは、柳の1952年に発表されたデザインです。潔いほどシンプルに見えて、洗練されたデザインのN型シリーズは、新聞や雑誌で取り上げられ、人気に火がついたそうです。

まだ日本にデザインという言葉が知られていなかった頃から時代に先駆けたものを作りました。ポットは1100cc、クリーマーは380ccと、たっぷり入ります。ぷっくりとした可愛らしいフォルムと、ボーンチャイナならではのうっすらと光が通る様も美しく、見ているだけで楽しめます。

ニッコー 柳宗理ボーンチャイナ(残りわずかのため時間差で売り切れの際はご容赦くださいませ)
https://www.shokunin.com/jp/nikko/

参考資料
https://ja.wikipedia.org/wiki/ボーンチャイナ
https://yanagi-design.or.jp/works_groups/3299/

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【ワイングラスでデザートを】

民藝運動の第一人者・柳宗悦の長男である柳宗理は、数々の名作を世に送り出した工業デザイナー。家具やキッチンツール、食器など、生活に関わるものをデザインしてきました。そのデザイン手法は、常に使い手の視点に立ち、手で模型を作りながら考えるという実直な方法。彼のアノニマスプロダクトは、それと気付かずにどこかで見たり使っていることがあるかもしれません。そして実際に使うと、その機能美を感じずにはいられません。

その柳宗理がデザインしたワイングラスがあるのをご存じでしょうか?1979年にデザインされたワイングラスを、日本で最も古い硝子メーカーの一つである廣田硝子が復刻したのが、こちらの「柳宗理ワイングラス」。底の部分が厚く、ぽってりとした触り心地と安定感を持つ独特な形状のワイングラスは、デザートの器に使用しても良さそうです。

こちらのコーヒーゼリーは、濃い目に抽出したドリップコーヒーにゼラチンを溶かし、冷蔵庫で固めたあとに、緩く泡立てたクリームをのせたシンプルな作り方。コーヒーはあえて無糖で、代わりに砂糖を入れたクリームやシロップで好みの甘さに調整します。純喫茶のメニューにありそうな、どこか昔懐かしさを感じさせる、ほろ苦い大人のコーヒーゼリーです。

コーヒーゼリー以外にも、バニラアイスにエスプレッソをかけたイタリアのアフォガートや、日本酒を加えたアイスクリームに季節のフルーツを組み合わせたパフェの器などにもお使いいただけます。

自由な発想と遊び心は、一つの器の使い方を幾通りにも広げてくれますね。

廣田硝子 柳宗理ワイングラス
https://www.shokunin.com/jp/hirota/wine.html

参考資料
https://www.nhk.or.jp/kamado/recipe/103.html (レシピ)
https://magazine.asahi-shuzo.co.jp/enjoy/249