





【最近のビリヤニの話】
インド亜大陸発祥のビリヤニ。最近では、大手スーパーの西友やコンビニなどでも、以前より本格的なものを見かけるようになりました。
インド料理といえば、昔はナンとバターチキンカレーが定番の人気料理だった気がします。それが最近では、南インド料理のミールスやビリヤニなど、さまざまな種類が食べられるようになり、インド料理好きとしてはとても嬉しいです。
ビリヤニで見かける超長粒のお米は、香りのよいインディカ種の「バスマティ米」と呼ばれるものです。細長い独特のビジュアルと、口の中でフワッとほどける軽やかさが特徴で、重いソースや濃いスパイスを爽やかに引き立ててくれます。胃にたまらない軽快な食感なので、私はいつもついつい食べすぎてしまいます。
バスマティ米はヒンディー語で、「香りの女王」「香りに満ちたもの」という意味で説明されることがあります。ポップコーンやナッツのような、甘く香ばしい独特の香りが特徴で、この香りに大きく関わっているのが、「2-アセチル-1-ピロリン(2AP)」という香気成分です。バスマティ米の香りは品種の特徴に加え、生育環境や成熟など、多くの要因の影響を受けます。現在のインドとパキスタンに当たる地域で何百年にもわたって栽培され、多種多様な品種があり、ヒマラヤ山麓で生産されるものが特に高品質とされることが多いそうです。
「ビリヤニ(biryani)」の語源には諸説ありますが、ペルシャ語の「米」を意味するbirinjや、「炒める・焼く」を意味するbiryanに由来するという説が挙げられます。
ビリヤニは、ペルシャ(現・イラン)に伝わる米料理の文化と、インドの豊かなスパイスや米文化が融合し、インド亜大陸で発展してきた料理です。ペルシャのプラオ(pulao)などの米料理が、ムガル帝国などの宮廷料理の中でインドのスパイスやバスマティ米、ギー(精製バター)などと結びつき、さらに地域ごとの食材や調理法を取り入れながら発展していったと考えられています。インド洋交易による人々の移動やイスラム文化、食材、調理文化の交流とも深く関わり、各地でその土地ならではのビリヤニや米料理へと発展していきました。
北インドの古都ラクナウには、宮廷料理を背景に発展したアワディ・ビリヤニがあります。サフラン、ローズウォーター、ケウラ(花の水)などを使った、上品で華やかな香りが特徴です。代表的なパッキ式の製法は、あらかじめ調理した肉と半茹での米を層にして重ね、鍋を密閉してダム(dum)と呼ばれる蒸し焼きにします。強い辛さよりも、肉の旨味とスパイス、花の香りを重ねていく、繊細な味わいが魅力です。
一方、南インドのハイデラバードには、力強い味わいのハイデラバディ・ビリヤニがあります。青唐辛子やミント、コリアンダー、スパイスなどを使い、辛味とハーブの爽やかな香りが特徴です。ハイデラバディ・ビリヤニの中で特によく知られているのがカッチ式製法です。生の肉をスパイスやヨーグルトなどでマリネし、半茹での米と重ね、鍋を密閉してダムで仕上げます。肉から出る水分や脂、蒸気を利用して肉と米を同時に火にかけるため、肉の旨味が米に移り、力強く一体感のある味わいになります。インドにはこのほかにも、地域ごとに異なるビリヤニがあります。米を生のまま使うタイプや、バスマティ米でなく、小粒のカイマ米を使うタイプなど、作り方も一様ではありません。
最近、日本で比較的よく見かけるのは、ハイデラバディ風のスパイシーなビリヤニでしょうか。日本では、本格的なものから、日本の材料や調理環境に合わせてローカライズされたものまであります。コンビニでもバスマティ米を使ったビリヤニが食べられるようになったのは、すごいなと思いました。
世界のお米料理を知り、食べ、そして作ることができる。そんな料理のチョイスが増えるのは、喜ばしいことですね。
青龍窯 煎茶碗
https://www.shokunin.com/jp/seiryu/sencha.html
参考資料
https://ja.wikipedia.org/wiki/ビリヤニ
https://ja.wikipedia.org/wiki/バスマティ
https://ja.wikipedia.org/wiki/香り米
https://mashal.jp/blog/explain-how-to-make-biryani/
https://en.wikipedia.org/wiki/Dum_pukht





