



【梨のスープの話】
一度作ってみたいもののひとつに、見た目も美しい梨のスープがあります。梨といえば、日本ではみずみずしくシャリッとした食感を生かしてそのまま食べるのが一般的で、料理に使うイメージはあまりありません。そんな梨をスープにする料理が、中国や台湾など中国語圏にあると知りました。「銀耳雪梨湯(ぎんじせつりとう)」などと呼ばれる、白きくらげと梨の甘い養生スープです。
中国語の「湯」は汁気のある料理全般を指し、甘いデザートにも使われるそうです。白きくらげと梨に、氷砂糖、なつめを加えて煮ます。梨は皮と芯もスープに使うレシピもあります。煮る時間で食感が変わり、短時間で仕上げるものから、数時間かけて白きくらげをとろとろに煮るものまで。クコの実は、仕上げに加えるようです。
中医学によると、梨は体にこもった熱を冷ます「涼性」の食べ物で、味は甘味にほのかな酸味を帯び、肺と胃に働きかけるとされています。喉や肺を潤して乾燥を和らげる「生津潤肺(しょうしんじゅんはい)」の食材として、乾燥する季節の咳や喉の違和感に用いられてきました。中国・明代の薬学書『本草綱目』にも、梨が熱を冷まし、痰や咳に用いられることが記されているそうです。白きくらげは煮ると、多糖類が水分を抱えて独特のとろみが出ます。こうした性質から、食養生や美容を意識した料理の材料としても親しまれています。中医学では、秋は空気が乾燥して肺が弱りやすい季節とされます。肺は「悲しみ」の感情ともつながると考えられていて、秋になんとなく気分が沈みやすいのも、乾燥と無関係ではないのかもしれません。体を潤すことは、心を整えることにもつながりそうです。
最近は、起き抜けに喉に違和感を覚えることがあります。季節の変わり目で喉の調子が気になるこの時期にこそ、飲んでみたい一杯。ただ、梨は体を冷やす性質があるとされるので、温かくして飲むのがよさそうです。
中華圏では、皮が淡い黄緑色でつるっとした「中国梨」が、このスープに使われるようです。日本の梨だと二十世紀梨のような青梨が近いそうですが、日本の梨の代表格は皮が茶色っぽくてざらっとした幸水や豊水などの赤梨なので、青梨と赤梨の両方で違いを試してみたいと思います。材料はシンプルなので、揃えてしまえばあとは簡単。とろみを出すには、保温性の高い土鍋や厚手の鍋で、時間をかけて煮るとよい感じでした。梨の香りが際立っておいしく、秋の定番料理になりそうです。夜長にゆっくり出来上がりを待つ時間も、ごちそうになりそうですね。
松山陶工場 あたため鍋・行平鍋
https://www.shokunin.com/jp/matsuyama/
参考資料
https://80c.jp/recipe/20240930-1.html
https://www.543life.com/content/shun/post20251011.html
https://www.1chinese.com/ala/8092/
https://ja.wikipedia.org/wiki/ナシ
https://ja.wikipedia.org/wiki/チュウゴクナシ








